著者
井上 哲理 野呂 影勇 岩崎 常人 大頭 仁
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.1301-1305, 1994-10-20
被引用文献数
41 6

2眼式立体映像は, 立体効果が大きいため, 有効な立体再生法として広く利用されている.しかし, 同映像はいくつかの問題点も指摘されており, 特に人間の視覚系に与える影響は実用化の妨げとなっている.本研究では, 2眼式立体映像が視覚系に与える影響を定量的に評価するとともに, 視覚系に負担の少ない映像の呈示条件について考察した.評価の方法として, 映像鑑賞中の両眼眼球運動および鑑賞前後の調節機能の測定を行った.これらの測定を両眼視差量の違う立体映像および通常の平面映像について行い, 結果を比較することで評価を行った.結果より, 鑑賞中の眼球共同運動が崩れる現象, および鑑賞後に調節反応時間の延長があり, 2眼式立体映像の視覚系への影響が見られた.映像の持つ両眼視差量が大きくなるに従い, これらの影響は大きくなり, 一方, 両眼視差量が1度以内であれば, その影響が通常の平面映像と差がないことがわかった.
著者
鵜飼 一彦 大頭 仁 中島 薫 進藤 修
出版者
公益社団法人 応用物理学会分科会 日本光学会
雑誌
光学 (ISSN:03896625)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.21-28, 1978-02-25 (Released:2010-06-11)
参考文献数
17

Four kinds of ophthalmic lenses which have different Abbe numbers (vd) with the same refractive index (nd) for 588 nm have been prepared for our study. They have different chromatic aberrations even though they have the same powers.In the first, axial and lateral chromatic aberrations of these lenses were calculated and measured. Then, the white light MTF curves of the visual system of the wearers were measured to estimate the influences of the chromatic aberrations.As the results, it became clear that one can neglect the axial chromatic aberration in general. The lateral chromatic aberration, however, decreases the visual acuity of the subject considerably who sees through an eccentric portion of the lenses.
著者
所 敬 山崎 斉 川崎 勉 奥山 文雄 大頭 仁 上川床 総一郎 百野 伊恵
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究の目的は,視標の移動方向が前後方向,水平方向の2方向に移動でき,呈示時間が設定できる動体視力装置を開発することにあった。この3要素を設定できるので3次元動体視力計と名付けた。この装置の特徴を以下に挙げる。(1)視標速度は市販の機器よりも広い範囲で可変であり,静止〜100Km/hまで前後と水平方向の両方向で7段階に設定できる。(2)視標呈示位置は前後方向70〜4m,水平方向±2.0度である。(3)短時間呈示は1/1000〜1secまて7段階に設定できる。(4)これら以外に視標サイズは4種,色は白,赤,緑,青,黄の5種,背景照度は0.1〜200cd/m^2まで8段階まで設定できる。この装置を制作し,調整を行い上記の性能を得ることを確認した。さらにこの装置を用いて測定をしたところ,前後方向の動体視力は視標速度を静止から100Km/hまで変えると低下することがわかった。背景輝度の影響は,背景輝度を0.3から200cd/m^2まで変えることで得られ,動体視力は輝度が0.3cd/m^2から100cd/m^2まで増加するが200cd/m^2では減少することもわかった。今後の課題は,高速道路の交通眼科や航空医学への応用を計るために,視標速度をさらに150Km/hまて向上させる必要がある。また,環境が動体視力に与える影響が大きいため,視標の種類,背景,背景照度などを考慮する必要がある。この装置は今後,眼精疲労や交通眼科の問題解決に役立つ機器である。