- 著者
-
村脇 義和
川崎 寛中
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.96, no.10, pp.1143-1152, 1999-10-05 (Released:2008-02-26)
- 参考文献数
- 73
慢性肝疾患では肝線維化が問題となるが,この対策を確立するためにも肝線維化の病態を正確に把握する必要がある.肝での細胞外マトリックスは主として肝星細胞で産生される.肝星細胞は正常肝ではその産生能は低いが,線維肝では活性化され筋線維芽細胞となりその産生能は著明に高くなる.肝星細胞の活性化にはTGF-β1が,増殖にはPDGFの関与が明らかにされている.一方マトリックス分解にも肝星細胞が強く関与しているが,MMP酵素群の特性およびその活性を規制しているTIMPについても詳細が明らかにされて来ている.最近ではこれら病態を踏まえて各種薬物の抗線維化作用が実験的肝線維化モデルで検討されている.