著者
早川 尚男 川崎 猛史 齊藤 国靖 大槻 道夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017度は4回研究メンバー全員が集まった研究成果発表会を開き、そのうちの一回はアメリカのO'Hern教授を招いた国際会議形式を取り、本研究課題を推進した。出版論文は13(謝辞記載有りは11)であり、投稿中のプレプリントは4本である。これらの数は昨年並であるが、High Impact Factorへの発表論文が2つあり、そのうちの1本は日経新聞をはじめとした各種メディアに大いに取り上げられて注目された。国際会議の招待講演は5件(全て海外)、国内の招待講演は5件であった。主な研究成果として(1)シアシックニングの運動論をある程度濃いサスペンションへの適用の成功, (2) ジャミング点近傍でのサスペンションレオロジーの理論の発展、(3) シアジャム状態のプロトコル依存性の明示とシアシックニングとの関係の明示、(4)粘着性粉体のレオロジー;特に凝集不安定性、(5)粉体パイルの緩和 (6) パッキングへの摩擦のサイズ分布の影響、(7)剪断粉体系での異方的なエネルギースペクトルの緩和、 (8)摩擦のある粉体ジャム系でのシアモディラスの不連続な変化等を明らかにした事等が挙げられる。その他、非ガウスゆらぎの量子系への適用、幾何学的位相がある場合に非断熱的効果によってOnsager関係式が破れる事にも成果を挙げている。その他、現在研究が進展中でかつ論文執筆準備中の研究内容は非ガウスノイズの影響を受けた多体問題と2体有効相互作用に関する理論的研究、粉体環境中のトレーサー粒子間に働く有効相互作用、摩擦のある系のシアシックニングの理論等である。