著者
大槻 道夫
出版者
分子シミュレーション学会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.88-93, 2014-04-30 (Released:2015-06-03)
被引用文献数
1

砂や粉などの大きさを持った粒子が多数集合した粉体は,その中に含まれる粒子の密度があるしきい値より低い場合は流体的に振る舞う一方,そのしきい値より高い場合は固体的な振る舞いをしめす.この密度による状態変化はジャミング転移と呼ばれ,転移点近傍で様々な臨界的性質が観測される.近年のシミュレーションや現象論を用いた研究によって,その臨界指数や転移のタイプが粒子間相互作用のような系の詳細に対して強い依存性を示すことがわかってきた.
著者
松川 宏 大槻 道夫 中野 健
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.222-229, 2015-05-10 (Released:2015-05-26)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

It is widely believed that Amontons’ law of friction holds well in various systems. Here we show based on a numerical calculation and analytical theory that Amontons’ law breaks in viscoelastic materials under certain condition due to the precursor slip prior to the bulk sliding. It is also shown that instead of Amontons’ law new friction law holds, which states that the static friction coefficient decreases as a power functionof load with the power −1/3. The new friction law is verified by the experiment employing polymethyl-methacrylate. The relation between the critical length of the precursor and the static friction coefficient predicted by numerical calculation and analytical theory is also verified.
著者
早川 尚男 川崎 猛史 齊藤 国靖 大槻 道夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017度は4回研究メンバー全員が集まった研究成果発表会を開き、そのうちの一回はアメリカのO'Hern教授を招いた国際会議形式を取り、本研究課題を推進した。出版論文は13(謝辞記載有りは11)であり、投稿中のプレプリントは4本である。これらの数は昨年並であるが、High Impact Factorへの発表論文が2つあり、そのうちの1本は日経新聞をはじめとした各種メディアに大いに取り上げられて注目された。国際会議の招待講演は5件(全て海外)、国内の招待講演は5件であった。主な研究成果として(1)シアシックニングの運動論をある程度濃いサスペンションへの適用の成功, (2) ジャミング点近傍でのサスペンションレオロジーの理論の発展、(3) シアジャム状態のプロトコル依存性の明示とシアシックニングとの関係の明示、(4)粘着性粉体のレオロジー;特に凝集不安定性、(5)粉体パイルの緩和 (6) パッキングへの摩擦のサイズ分布の影響、(7)剪断粉体系での異方的なエネルギースペクトルの緩和、 (8)摩擦のある粉体ジャム系でのシアモディラスの不連続な変化等を明らかにした事等が挙げられる。その他、非ガウスゆらぎの量子系への適用、幾何学的位相がある場合に非断熱的効果によってOnsager関係式が破れる事にも成果を挙げている。その他、現在研究が進展中でかつ論文執筆準備中の研究内容は非ガウスノイズの影響を受けた多体問題と2体有効相互作用に関する理論的研究、粉体環境中のトレーサー粒子間に働く有効相互作用、摩擦のある系のシアシックニングの理論等である。
著者
大槻 道夫
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.59-140, 2007-04-20

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