著者
川崎 由明 坂本 一民 Maibach Howard I.
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-61, 1996
被引用文献数
1

5種類のアミノ酸 (L-リジン塩酸塩, グリシン, L-グルタミン酸モノナトリウム, L-プロリン, L-スレオニン) をアミノ酸のモデルとして選定し, ヒト皮膚に於けるそれらのpH 7.4水溶液からの<i>in vitro</i>経皮吸収挙動をラジオアイソトープを用いて種々検討した結果, ヒト角質層はアミノ酸経皮吸収に対して大きなバリアとなっていることが明らかになった。また, 正常皮膚に於けるアミノ酸経皮吸収流束とアミノ酸のlog P (オクタノール/水) の間に負の相関関係が確認されたことから"マイクロチャンネル"の存在が示唆される。更に, グリセリンやPCAナトリウム等を共存させた場合, L-プロリンの皮膚透過量は殆ど変化せずに, 表皮への吸着量は増大したことから, ヒト表皮はアミノ酸のリザーバーとしての役割を果たしていると考えられる。
著者
山下 裕司 川崎 由明 坂本 一民
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.71-75, 2018-03-11 (Released:2019-12-26)

界面活性剤は、化粧品を構成する化学物質の1 つであり、化粧品において主に洗浄、乳化、可溶化を目的に用いられる。化粧品のように不特定多数の人が長期間にわたって使用する場合、その安全性は製品に訴求される最も重要な要素である。現在、既定の試験法によって化粧品原料と製剤の安全性が評価され、用途に適した界面活性剤が利用されるが、微妙な有害作用や副次的な皮膚への影響など、従来の試験法では予知できない可能性がある。本稿では、軽微な皮膚ダメージの1 つとして角層細胞間脂質(SCL)構造の乱れに焦点を当て、電子スピン共鳴(ESR)法より得られたオーダーパラメーター(S)と皮膚刺激、および皮膚バリア機能との関係を説明する。