著者
大嶺 千枝子 仲里 幸子 川崎 道子 神里 千鶴子 牧内 忍 与那嶺 尚子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.3, pp.33-44, 2002-03

保健婦の駐在制度は、我が国の保健婦行政史の中で極めて特異で本県特有である。46年間に亘り制度が発展し維持できた要因は、保健婦人事等にあるとされたが、その要因に関する研究は殆ど行われていない。そこで、本研究では駐在の実態・組織、駐在の状況、看護管理者の機能、46年間の保健婦(延1502名)及び指導者41名に対する異動経歴の追跡調査、人事配置に至る実際から配置の基本事項を再構築し、制度確立と継続に影響した諸要因を探ることを目的とした。結果は、制度施行期間は46年であるが各駐在は開設年により異なる。駐在数は77をピークとし配置実数140名、異動延べ保健婦は1502名、平均在勤3.4年で殆ど全員が遠隔地の勤務を経験している。離島駐在は20ヵ所、駐在保健婦は265名で復帰後に完了している。定義による離島駐在保健婦は236名、全体の約16%、平均在勤は1.9年である。組織は看護課設置を特徴とし、課長が強い指導権限を有した。保健行政においては、保健婦係長が人事権を持ち保健婦の意向を尊重し、看護課長と連携して公平性、負担の均衡性及び配置の循環性等を厳守している。指導者は保健所、教育、行政職を循環し諸問題を共有して指導の統一性を保ち、集団的指導体制を確立している。このように駐在制度の確立要因は係長の人事権及び連携と調整機能、個の意向尊重を基本とす人事の考え方、組織と権限と責務、係長を核とする集団的指導体制等が相乗効果を持ったと推測された。The Public Health Nurse Station System in Okinawa is distinctive in the history of nursing administration in Japan. Forty-six years of development and maintenance of the Nurse Station System have sometimes been attributed to the effective personnel management. The true factors influencing the success of maintaining the system have rarely been met with in-depth study. This study attempts to look into the various factors such as the following: organizational factors, function of nursing administrations, following up of personnel involving 1502 station nurses, 41 administrations covering the period of 46 years. Starting years of stations vary from area to area. Peak year finds the number of Stations with the nurses stationed to be 77 and 140 respectively. Total number of public health nurses involved during 46 years of operation is 1502 and many of them were dispatched to further islands for the average years of 3.4. Prereversion period in Okinawa had 20 stations in further islands with 265 public health nurses. The "official public health nurses" counted 236,16% of the total and they worked for average 1.9 years. As for the administration of the stations, a section chief of the station had the maximum power of management. A head public health nurse in cooperation with the section chief oversaw personnels in terms of their education and welfare. Leaders shared their experiences involving themselves in the field managing stations, education and administration thus, by rotating their duties, they contributed to the idea of group leadership. The duty and performance of the head public health nurse were considered to be the major factors of organizational success and the diffusion of nurse stations in Okinawa.
著者
川崎 道子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-8, 2001-02

本研究の目的は、基本健康診査の結果、「血圧」要医療と判定された者の生活習慣と HBM に基づく高血圧に対する認識等の関連要因を明らかにすることである。 U市の平成8年度基本健康診査受診者で「血圧」要医療と判定された314人に訪問面接調査を行った。主な内容は、生活習慣、高血圧に関する認識、健康に関する情報への関心、市の保健事業への参加、基本属性である。回収率は81.4%(256人)で、その中で分析対象者は定期受診し、自己申告による服薬治療の指示のあった201人である。本研究の対象者は、禁煙、節酒、運動、減塩の実施率は、他の報告と比較して高率であったが、休養は低率であった。好ましい生活習慣の実施項目数を上位群、下位群に分けて分析を行った結果、収入の伴う職業有りの割合は下位群が上位群と比較して高かった。健康情報への関心度は、テレビの健康番組を見る、新聞の健康記事を読む割合は上位群が下位群と比べて高かった。市の保健事業への参加では、基本健康診査を毎年受診する割合は上位群が下位群と比べて高かった。高血圧に関する認識では下位群の者は高血圧に関する保健行動を実行する上での障害の認識得点が高かった。 以上のことから、高血圧要医療者の生活習慣実施の関連要因として、収入の伴う職業あり、テレビ、新聞の健康情報への関心、基本健康診査を毎年受診する、高血圧に関する保健行動を実行する上での障害の認識が確認された。今後は、高血圧に関する認識を加味した保健指導の必要性ならびに基本健康診査未受診者に対して積極的にアプローチすることの重要性が示唆された。