著者
川平 杏子 厳島 行雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.197, 2007 (Released:2007-10-01)

感覚刺激を手がかりとした自伝的記憶の無意図的想起は,非日常的な出来事だけなく,日常的な出来事も想起されやすいことや,想起時の気分に関係なく手がかりとなる刺激に触れるたびにその出来事が想起されるという特徴が示唆された (川平,2005;2006)。そこで,本研究では,これらの特徴が感覚刺激を手がかりとした無意図的想起に固有のものであるのかを検討するために,実験において,感覚刺激を手がかりとして意図的に想起した記憶との比較を行なった。実験参加者は,女子大生,大学院生21名 (平均年齢 20.88歳,SD=1.52) であった。音楽刺激を聞いて想起することのできる過去の出来事を回答するよう求めた。実験で得られた32事例を意図的想起群として,川平 (2006) で得られた日誌法のデータのうち年齢の範囲が同じで,聴覚刺激を手がかりとした34事例と比較検討した。