著者
川戸 勇士
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.967, 2016 (Released:2016-10-01)
参考文献数
2

近年,酵素の活性部位特異的修飾によって新たな分子認識能,反応性および選択性を付与した人工酵素の創出により,実現困難な分子変換を達成する研究が盛んに展開されている.中でも,生化学反応で利用されない白金族元素(Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)を補因子とする人工酵素が注目されている.今回,WardらはPd錯体を結合させたビオチン誘導体をホストタンパク質のストレプトアビジン(Sav)に組み込むことにより,人工酵素“Suzukiase”を創出することに成功したので,本稿にて紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Hyster T. K. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55, 7344-7357 (2016).2) Chatterjee A. et al., Chem. Sci., 7, 673-677 (2016).