著者
佐々木 麻紀子 中林 あずみ 川村 あゆみ
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:21861951)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.85-90, 2019 (Released:2022-02-25)
参考文献数
18

コチニールはカイガラムシとも呼ばれ古くから染料として用いられ、天然染料の中でも比較的安定した堅ろう性を持った染色布を得られることがわかっている。本研究では、試料を豚革としてコチニールを用いて浸染を試み、手工芸染色として簡便に利用できるような染色・媒染条件を探り、豚革を用いた手工芸染色の可能性を広げることを目的とした。豚革を 60℃で浸漬をすると3.0~4.3%程度の収縮が生じ、部位によっては変形、黄変、硬化などを伴ったため、染色実験では、染色温度40~50℃と設定した。低温染色であるため、アルミ媒染、スズ媒染ともに1回の染色で濃色に染色することは難しく、5回の繰り返し染色を行った。豚革の銀面及び床面において、繰り返し染色による濃色効果が認められた。豚革は、コチニールを用いた低温浸漬によるろうけつ染めが可能であり、繰り返し染色や媒染剤を変えることで色のバリエーションを増やすことが可能であった。