著者
川村 晴美 鈴木 英子 中澤 沙織 田辺 幸子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.351-360, 2021-10-08 (Released:2022-01-31)
参考文献数
49

急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感とバーンアウトとの関連を明らかにすることを目的として,全国14カ所の国公立系急性期病院の認知症高齢者が入院している病棟に勤務する看護師2032名を対象とした自記式質問紙調査を実施した。質問項目は,日本版Maslach Burnout Inventory- Human Services Survey(MBI-HSS)に準じたバーンアウトに関する22項目,急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感に関する16項目,ワークライフバランスに関する24項目,個人要因18項目,職場環境要因10項目とした。有効回答数は1235名(60.8%)であった。MBI-HSSによるバーンアウト総合得点の平均値は12.6点であり,病院間に有意差は見られなかった。バーンアウト総合得点を目的変数とする重回帰分析の結果,バーンアウトに関連する要因は,標準化偏回帰係数が大きい順に,困難感の総合得点,ワークライフバランスの総合得点,自分の健康を維持する能力,職場に対する満足感であった。認知症看護の困難さを感じている看護師はバーンアウトしやすいことから,このような看護師を対象としたバーンアウトを予防するためのサポートプログラムを構築する必要があると考えられる。
著者
川村 晴美 鈴木 英子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.131-141, 2014-06-20 (Released:2014-07-03)
参考文献数
20
被引用文献数
3

目的:看護職のワークライフバランス(以下,WLB)とバーンアウトの関連を明らかにする.方法:首都圏の一般病院で国,公的医療機関,社会保険関係団体,医療法人,会社の設置主体より各1施設選定した5病院に勤務する看護職1,030人を対象とし,自記式質問紙調査を実施した.調査内容はバーンアウト(日本版MBI-HSS)22項目,属性,看護職のWLB指標調査24項目とした.結果:有効回答は798人(有効回答率77.5%)であった.平均年齢は33.8±8.1歳でWLBとバーンアウト総合得点の平均はそれぞれ10.2, 10.9であった.WLB総合得点は,会社が国,公的医療機関,社会保険関係団体,医療法人より有意に高かった(p<0.01).階層的重回帰分析を行った結果,実務職種,残業時間,子どもの有無,WLB認識,仕事と仕事以外の切り替え,目的を持って取り組んでいること,相談相手の有無,WLBとの有意な関連が認められた.結論:設置主体別では,会社はWLBの実現度が高い可能性が明らかになった.また,仕事と仕事以外の切り替えや目標を持って取り組むこと,WLB実現度を上げることによりバーンアウトが予防できる可能性が示唆された.