著者
灘本 知憲 浦部 貴美子 川村 正純
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

最近では、生理的な効果を持ち、しかも環境に安全な天然物の利用に関心が寄せられている。野草は至る所に自生しているため、容易にそして安価に手に入れやすく、幅広い利用が考えられる。そこで、本研究は(1)野草の防臭あるいは消臭効果の検索(2)抗菌性試験系と消臭活性試験系とによる効果の確認(3)防臭あるいは消臭効果を有する野草の有効成分の検討(4)食品への適用の有効性、の目的にしたがって検討を行った。得られた結果は次に示すとおりである。1.悪臭発生のモデル食品としてブタ小腸を用いて野草の防臭効果を検討した結果、ブタ小腸に存在する嫌気性菌の増殖を著しく抑制し、悪臭の発生を顕著に抑える野草として、タンポポを見出すことができた。2.メチルメルカプタンを指標として野草の消臭力を測定した結果、高い消臭効果を有する野草を見出すことができた。中でも消臭率の高かった8種類の野草(タカサブロウ、セイタカアワダチソウ、ホウキギク、ヨモギ、アメリカセンダングサ、タンポポ、ノアザミ、オニノゲシ)は、いずれもキク科植物であった。3.Proteus mirabilisに対する野草の抗菌力を測定した結果、強い抗菌力を示す野草として、タカサブロウ(キク科)とイタドリ(タデ科)を見出すことができた。4.消臭効果の顕著であったドクダミとタンポポから、それぞれ消臭性成分を分離することができた。ドクダミとタンポポは薬用植物として、また食べられる野草としても利用されている。そのため、安全性については比較的高いものと考えられる。