- 著者
-
内田 知宏
川村 知慧子
三船 奈緒子
濱家 由美子
松本 和紀
安保 英勇
上埜 高志
- 出版者
- 日本パーソナリティ心理学会
- 雑誌
- パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.3, pp.143-154, 2012-03-30 (Released:2012-05-22)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
-
7
8
本研究は,自己と他者に対するスキーマを測定するために作成された日本版Brief Core Schema Scale(JBCSS)の信頼性,妥当性について検討をした。あわせて本研究では,自覚的な抑うつとスキーマとの関連について検討した。JBCSSの因子構造を確認するための確証的因子分析からは,「自己ポジティブ(PS)」,「自己ネガティブ(NS)」,「他者ポジティブ(PO)」,「他者ネガティブ(NO)」の4因子構造が確認された。さらに,クラスター分析によってこれら4因子を組み合わせたスキーマパターンの類型化を試みたところ,4つのクラスターが抽出された。分散分析の結果,自己および他者の両方に対してネガティブなスキーマをもつ群は,他の群と比べてもっとも抑うつ得点が高かった。こうした結果から,JBCSSで測定される自己と他者に対するスキーマを組み合わせて検討することで,症状に関するより詳細な情報が得られることが示唆された。