著者
川村 覚昭
出版者
京都産業大学教職課程講座センター
雑誌
京都産業大学教職研究紀要 (ISSN:18839509)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.13-29, 2008-03

今日、我が国の人間形成は、不透明感を増している。このため、教職教育の原理も明確ではないが、それは、近代教育を支えている思惟構造に根本的な原因があると考えられる。その思惟構造は、基本的に近代世界を支えるものであり、教育によって強化されていくが、本稿では、その思惟構造と、それを生み出す背景、即ち文化に注目して近代の人間形成の問題を明らかにした。 その際、現代哲学の重要な方法論である現象学を使い、我が国の近代化の過程で忘却されてきた東洋的思惟、特に西田哲学が明らかにした主客未分の論理が、これからの人間形成と教職教育を考える重要なファクターになることを明らかにした。