- 著者
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川田 善正
金子 透
岩田 太
渡辺 修
- 出版者
- 静岡大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2003
研究実績の概要は以下のとおり.本研究では、フォトニック結晶構造を有する記録媒体を設計、試作し、その記録媒体にデータを記録・再生することによって、光波を制御し、高密度かつ高コントラストの3次元光メモリを開発することを目的として、研究を進めてきた。記録媒体中に3次元的なフォトニック結晶構造を創り込むことよって、記録するデータの空間周波数分布を制御することが可能になる。このため、データを再生する光学系のOTF(光学的伝達関数)に合わせたデータの記録を行なうことにより、データをコントラスト良く再生することが可能になる。また、フォトニック結晶における光の閉じ込め効果などを利用することによって、光の電場を増強し、より効率よくデータの記録、再生を行なうことも可能となる。さらに、記録媒体中に微細周期構造が作製されているため、それらの構造をガイドとして利用することによって、3次元的なデータのトラッキングも可能になる。今年度は、多層構造を有する記録媒体に、レーザー光を照射し、記録材料の特性を変化させることで、記録媒体中にメッシュ構造を有する3次元的な微細周期構造を作製した。このような記録媒体を用いることによって、面内データ間隔500nm,光軸方向のデータ間隔2μmで、3次元的なデータの記録再生に成功した。本研究で達成した記録密度は、これまで報告されているもの中で最も高いものである。さらに、本研究では、新しい記録媒体の作製方法として、粘着剤を利用した媒体作製方法を検討した。これまではスピンコート法を用いて媒体を作製してきたが、この方法では、媒体の厚みが均一ではなく、また記録層とバァッファ層に使用可能な記録材料の選択に制限があった。粘着剤を用いた方法では、フィルムを多層に張り合わせていく手法であるので、膜厚の均一性が良く、容易に多層構造を作製することが可能である。基礎実験により、粘着剤を利用した手法の有効性を確認した。