著者
川田 章弘 福本 一朗
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.261-272, 2000-10-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1

若年者, 高齢者がともに聞き取りやすい報知音の特徴を調査するため, 以下に示す4種類の報知音: (1) 2kHz純音, (2) 2kHzと2.5kHzの正弦波信号を乗算処理したAM音, (3) 3kHzから0.5kHzへと変化する周波数掃引音, (4) 0.2kHzから2.7kHzへと変化する周波数掃引音を試作し, 単純反応時間によって聞き取りやすさの検討をした. また, これらの報知音に対する切迫性についての聴取印象も評価した. 結果, (3), (4) の報知音においては, 高齢者-若年者間や男女間に聴取印象の相違があることを示した. 単純反応時間と聴取印象の総合的評価の結果, (2) の報知音がもっとも優れていると考えられる. これらの結果から, 高齢者と若年者が共に聞き取りやすい報知音を作成する方法として, 複合音の使用や経時的に周波数の変化する音の使用を提案する.