著者
川﨑 和治
出版者
沖縄大学法経学部
雑誌
沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL OF LAW &ECONOMICS (ISSN:13463128)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-132, 2008-03-31

1999年以来、「司法制度改革」が行われている。これは、利用者である国民の視点から、司法の基本的制度を抜本的に見直そうというものであり、裁判制度自体や国民に対する司法サービスの提供など、多くの改革が進められてきた。その中で、いわゆるADR機関や法テラスの創設によって、国民の権利救済機関へのアクセス強化が図られたことは、大いに歓迎するところである。しかし,かねてより司法過疎が問題となっている中で、いわゆる「ゼロワン地域」に対して、いくつかの制度的支援策が講じられてきたが、とくに島嶼を多く抱える地域にあっては、ゼロワン地域の枠からは外れるものの、今なお「司法過疎」の状況にある地域も多く存在している。本資料は、全国の裁判管轄区域毎に居住する人口と、同区域の実務法律家(弁護士・司法書士)数を集計し、一人の実務法律家が受け持つ担当人口を算出したものである。もとより、実務法律家の活動が、その所属地域を超えて行われていることは承知している。しかし、本資料で集計した数値は、司法過疎地域を抽出するための一応の目安となるのではないかと考えている。本資料の分析については今後の課題としたい
著者
川﨑 和治 かわさき かずはる Kawasaki Kazuharu 沖縄大学地域研究所所員
出版者
沖縄大学地域研究所
雑誌
地域研究 = Regional study (ISSN:18812082)
巻号頁・発行日
no.15, pp.99-110, 2015-03

沖縄本島において生じた自動二輪車と原動機付き自転車の衝突事故により、重傷を負った原動機付き自転車の運転手が、加害者に請求した損害賠償訴訟に関する判例研究である。那覇地裁が認定した事実を福岡高裁那覇支部は、より詳細に検討し、合理的な推認方法により加害者の100%過失を認め、被害者に過失相殺を課すことを否定した。後遺障害逸失利益の計算において、医学部2年生にもかかわらず、医師の平均賃金を基礎収入として計算、また、自賠責保険金が支払われるまでの期間に対する遅延損害金を認めている。本稿が「交通事故 うまんちゅで築く 美ら島2014」を年間ソローガンとして掲げる沖縄県の交通事故減少に参考になればと願っている。