著者
守安 正恭 市丸 百代 西山 由美 加藤 篤
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.659-665, 1993-11-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
10
被引用文献数
6 11

過塩素酸ナトリウムをイオン対試薬としイオン対抽出法とイオン対HPLCを結合して植物からアルカロイド(植物塩基)を迅速に取得する方法を開発した.四級アルカロイドは過塩素酸イオンとイオン対を生成し,酸性条件下1,2-ジクロロエタンで定量的に抽出される.又,三級アルカロイドも定量的に抽出される場合が多いが,抽出率が低い場合もある.得られた塩基の粗過塩素酸塩分画は過塩素酸ナトリウムをイオン対試薬とするHPLCで良好に分離でき,この系は分取への応用が容易である.すなわち分取HPLC後,各ピークのフラクションから有機溶媒を留去し,残りの水相を1,2-ジクロロエタンで振り混ぜるとアルカロイドが抽出され,1,2-ジクロロエタンを留去すると純粋なアルカロイドの過塩素酸塩が得られた.ボウイ,エンゴサク,ナンテンジツの3種の生薬に対してこの方法を適用したところ,いずれの場合もアルカロイドが定量的に抽出されHPLC分離も良好であった.又ボウイについては分取HPLCも行い,シノメニン,マグノフロリンを迅速に取得できた.