著者
中本 真理子 酒井 徹 首藤 恵泉 安藝 菜奈子 小杉 知里 秦 明子 篠田 香織 桑村 由美 南川 貴子 市原 多香子 田村 綾子 船木 真理
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.185-193, 2013 (Released:2013-08-16)
参考文献数
31
被引用文献数
4 4

近年, 生活習慣病や精神疾患などを抱える勤労者が増加している。一方, 朝食欠食, 過食, 身体活動の不足, 短時間睡眠など, 生活習慣の乱れが疾病の発症に関連することが報告されている。我々は, 徳島県勤労者において, 夕食終了から就寝までの間隔と生活習慣病の有病状況との関係について横断研究を行った。20歳以上の勤労者735名を対象に, 食物摂取頻度調査, 生活に関する質問票調査, 採血, 身体計測を実施した。夕食終了から就寝までの間隔が2時間未満の対象者を対照群とし, ロジスティック回帰分析を用いて解析を行った。高血圧に関して, 対照群に比し3-4時間, 4時間以上の群で, 有意に調整オッズ比が低下した。さらに21時以降の食事摂取者で, 高血圧の調整オッズ比は3-4時間空ける群で有意に低下し, 量反応性の関係が認められた。これらのことより, 夕食終了から就寝までの間隔を空けることが, 高血圧の予防につながる可能性が示唆された。
著者
大西 敏美 市原 多香子
出版者
国立大学法人 香川大学医学部看護学科
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.53-64, 2020-03-30 (Released:2020-04-02)
参考文献数
75

我が国における救急看護に関する研究の動向を知り,今後の救急看護領域における課題を検討することを目的とする.2009年から10年間で検索を行い,原著,症例検討,一般による文献検討を行った.523件を分析対象とし,山勢らの研究と比較するため,山勢らが用いたテーマ,【病態や処置の解説】【救急看護教育】【救急看護の専門性】【救急看護ケア】【その他】と,追加した【看護管理】に分類した.【病態や処置の解説】は減少し,【救急看護ケア】が増加していた.研究内容は,フライトナース,トリアージに関する文献が急増していた.フライトナースに関しては,複数施設あるいは,全国規模でフライトナースを対象として,継続教育も含めた教育体制の確立,心理的サポートの充実が必要と考えられた.トリアージに関しては,トリアージ能力の向上,トリアージ判定の事後検証システムの確立,その検証結果のフィードバック体制の構築やシミュレーションなどの勉強会を定期的に行うシステムの確立が求められた.家族援助では,看護師に対する終末期ケアの教育が示唆された.
著者
大西 敏美 市原 多香子
出版者
国立大学法人 香川大学医学部看護学科
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-35, 2023-03-30 (Released:2023-03-30)
参考文献数
28

本研究では,わが国における心肺蘇生指導に関する研究の動向を概観し,心疾患患者の家族を対象とした心肺蘇生指導の現状と課題を明らかにすることを目的に文献検討を行った.文献検索は,医学中央雑誌Web(Ver.5)を使用し,1980年~2020年までに公表された国内の原著論文を対象とし,キーワードを「心臓マッサージ」「心停止」「胸骨圧迫」「心肺蘇生」に「家族」を掛け合わせて検索した.結果446文献が抽出され,重複文献や心肺蘇生指導に関連のないものを除外し,107文献を対象文献とし,研究内容別に分類した.さらに研究内容別に分類したなかで,看護師が心疾患患者の家族を対象とした心肺蘇生指導について報告している10文献を最終分析対象とし,現状と課題を整理した.その結果,心疾患患者の家族を対象とした心肺蘇生指導は,講習会形式で実施されていたものが多かった.受講前の患者の家族は不安を抱えていたが,受講後は急変時の対応について理解を深めることができていた.一方で,一度の講習では習得が困難なため再受講を希望する家族もいた.家族は心肺蘇生指導をうけることで不安の軽減につながっていた.今後の課題として,繰り返し受講できるシステムづくりが必要だということが示唆された.