著者
西川 嘉広 水谷 英夫 小出 哲朗 石川 久高 今井 裕一 大村 崇 山田 典一 大久保 節也 市川 毅彦 伊藤 正明
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.732-735, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
8

症例は60代,男性。初回来院時,診察中に心房細動から心室細動となりアミオダロン塩酸塩注を投与された。その後,心室細動はコントロールされ無事退院した。その際,予防的にアミオダロン塩酸塩錠が継続処方された。1カ月後,心房細動にて救急受診し,初回入院時に潜在性WPW症候群の可能性が疑われ,心室細動への移行が懸念されたことからアミオダロン塩酸塩注が静脈内に投与された。その10分後,アナフィラキシーショックを呈した。加療にて回復後,アレルゲンの検索が行われた。アミオダロン製剤には錠剤と注射剤がある。すでにアミオダロン塩酸塩錠を内服していたことから注射製剤の添加剤に着目し,皮膚反応試験を実施した結果,アレルゲンはベンジルアルコールと判明した。本添加剤は多岐にわたり含有されているため,新規投薬時には医療用医薬品だけでなく一般用医薬品にも含有されていないことを確認するなど細心の注意を払う必要があると考えられた。