著者
葭山 稔 大村 崇 吉川 純一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.124, no.2, pp.83-89, 2004 (Released:2004-07-26)
参考文献数
13
被引用文献数
5 5

急性心筋梗塞後心臓リモデリングに対するACE阻害薬の有効性は広く知られているが,今回は,アンジオテンシンII受容体拮抗薬とアルドステロン拮抗薬の併用療法について検討した.モデルはウィスターラットを用いて心筋梗塞を作成してアンジオテンシンII受容体拮抗薬カンデサルタンを1 mg/kg/dayまたはエプレレノン100 mg/kg/dayその併用について心筋梗塞後4週間目に左室拡大,心機能を心エコー図にて確認した.結果は単独でもリモデリング抑制効果が認められたが併用にて,その効果は単独よりも効果が認められた.急性心筋梗塞後心臓リモデリングに対する両薬剤の併用は有効な治療方法と考えられる.
著者
山内 良太 北村 哲也 大西 史峻 渡邉 清孝 小西 克尚 大村 崇 太田 覚史 森 拓也 伊藤 正明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.416-421, 2018-04-15 (Released:2019-05-09)
参考文献数
10

38歳男性.1998年(26歳)から意識消失発作,高血糖による入院歴がある.難聴や知能低下も認めたことから代謝性疾患が疑われ,乳酸値の高値とミトコンドリア遺伝子3243点変異からMELAS(Mitochondrial myopathy,Encephalopathy,Lactic Acidosis,Stroke-like episodes)の診断に至った.当初より心電図や心臓超音波検査では心肥大の所見を認め心筋症の合併が疑われていた.心肥大の精査のため施行された心内膜心筋生検で変性したミトコンドリアを認めたことからミトコンドリア心筋症と考えられた.明らかな心不全症状は認めなかったが,心臓MRI検査では前壁,側壁,下壁に遅延造影とT2強調画像で高信号を認めた.その後数年間にわたり画像検査でのMELASによるミトコンドリア心筋症の心肥大進行の経過を追うことができた.画像診断を用いた心不全を発症する前の早期からのミトコンドリア心筋症の報告は他に認めず報告する.
著者
坂部 茂俊 笠井 篤信 渡邉 清孝 大村 崇 河村 晃弘 世古 哲哉 宮武 真弓 濱口 真紀 戸上 奈央 別當 勝紀
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.4, pp.S4_71-S4_75, 2009 (Released:2015-01-24)
参考文献数
2

症例は87歳, 男性. 2008年5月16日に労作時呼吸困難感を主訴に受診した. 心拍数38回/分で完全房室ブロックがあり, 胸部X線写真では右側優位に肺うっ血所見と少量の胸水を認めたが, 心臓超音波検査で左室収縮機能は正常で, 冠動脈造影検査で有意狭窄を認めなかった. 入院当日dual chamber pacemakerを移植し, 心室ペーシングリードは右室心尖部に留置した. しかし第3病日に突然肺水腫をきたし, 心臓超音波検査で左室にたこつぼ型心筋症様の収縮異常が認められた. うっ血性心不全と診断し薬物療法を行ったが改善しないため第8病日に左室リードを追加し左室ペーシングとしたところ左室収縮能は急激に正常化し, 肺水腫も消失した. 収縮能は保たれているが拡張不全のある完全房室ブロック患者に, 心臓再同期療法が効果を示した1例と考えられた.
著者
西川 嘉広 水谷 英夫 小出 哲朗 石川 久高 今井 裕一 大村 崇 山田 典一 大久保 節也 市川 毅彦 伊藤 正明
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.732-735, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
8

症例は60代,男性。初回来院時,診察中に心房細動から心室細動となりアミオダロン塩酸塩注を投与された。その後,心室細動はコントロールされ無事退院した。その際,予防的にアミオダロン塩酸塩錠が継続処方された。1カ月後,心房細動にて救急受診し,初回入院時に潜在性WPW症候群の可能性が疑われ,心室細動への移行が懸念されたことからアミオダロン塩酸塩注が静脈内に投与された。その10分後,アナフィラキシーショックを呈した。加療にて回復後,アレルゲンの検索が行われた。アミオダロン製剤には錠剤と注射剤がある。すでにアミオダロン塩酸塩錠を内服していたことから注射製剤の添加剤に着目し,皮膚反応試験を実施した結果,アレルゲンはベンジルアルコールと判明した。本添加剤は多岐にわたり含有されているため,新規投薬時には医療用医薬品だけでなく一般用医薬品にも含有されていないことを確認するなど細心の注意を払う必要があると考えられた。