著者
種村 智香 布谷 麻耶 師岡 友紀 川端 京子 鶴田 大輔 橋本 隆
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.365-374, 2022 (Released:2022-12-21)
参考文献数
18

目的:天疱瘡・類天疱瘡患者が発症初期から現在に至るまでに体験した日常生活における困難感を明らかにする.方法:13名の患者を対象に半構造化インタビューを行い,質的記述的に分析した.結果:身体症状の強い時期は,【症状により日常生活行動に支障を来す】【患部の必要な処置に伴い痛みや負担を感じる】が,治療によりこれらの大部分は軽快し,【ステロイド療法の副作用により日常生活行動に制約がある】といった治療により軽快しない困難感を生じていた.また,【希少疾患であること,他者に理解されないことで不安,孤独を感じる】【病気や治療,再燃に対する不安,恐れを感じる】【症状や治療の副作用による影響で人付き合いが難しい】【病気により学業,就職,仕事が思うようにいかない】心理的・社会的な困難を感じていた.結論:天疱瘡・類天疱瘡患者は,症状や治療,疾患の希少性・難治性,症状の可視性や他者に理解されないことでの困難感を抱いていた.
著者
布谷 麻耶 髙橋 美宝
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.295-304, 2023 (Released:2023-10-03)
参考文献数
24

目的:炎症性腸疾患患者が大腸内視鏡検査に伴いどのような苦痛を体験しているかを明らかにする.方法:発症後に大腸内視鏡検査を1回以上受けた経験がある寛解期の患者10名に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.結果:患者は大腸内視鏡検査に伴い,【前処置による心身の負担】【検査中の痛み】【検査への恐怖】【異性の医療者に対する抵抗感】【検査後の疲労と病状悪化】【検査結果への不安】【時間と費用の負担】という苦痛を体験していた.【検査中の痛み】には『炎症時の内視鏡操作に伴う痛み』『内視鏡挿入時や体位変換時の合併症による痛み』『腸管屈曲部に内視鏡が当たる痛み』『送気による腹部の張りと痛み』があった.結論:大腸内視鏡検査に伴い炎症性腸疾患患者は,腸管の炎症や合併症によって疾患特有の苦痛を体験していた.