- 著者
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貝阿弥 瞳
平田 央
鶴田 大輔
- 出版者
- 日本臨床皮膚科医会
- 雑誌
- 日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.1, pp.32-36, 2023 (Released:2023-04-08)
- 参考文献数
- 21
55歳,女性.初診2年前より外陰部に瘙痒があり,2ヵ月前から外陰部,肛囲に腫瘤を自覚していた.近医で尖圭コンジローマと診断されイミキモドを外用するも改善せず,当科を紹介受診した.初診時は,外陰部から肛囲にかけて鶏冠状に隆起した灰白色の腫瘤を多数認め,肛門部腫瘤は9.5 × 3 cm大であった.有棘細胞癌を鑑別疾患として,肛門部腫瘤より皮膚生検を施行した.病理組織学的所見では,表皮は過角化を伴って外方性,乳頭腫状に肥厚していた.錯角化があり,表皮上層の角化細胞にコイロサイトーシスを認めた.核の異型性は乏しく,悪性を示唆する所見はなかった.臨床所見,病理組織学的所見から巨大尖圭コンジローマ(giant condyloma acuminatum, GCA)と診断した.腫瘤の縮小を目的に亜鉛華デンプン外用を開始したところ,開始から2ヶ月で腫瘤はすべて消退した.その後,通院しなくなり,再発については確認できていない.
GCAとはカリフラワー状の腫瘤を形成し,外見上は悪性腫瘍が示唆されるが,病理組織学的に良性を示す腫瘍性病変と定義されている.治療として外科的切除術が最も確実な治療法と考えられているが,外科的切除術後でも再発率は50%と高い.2010年にGCAに対して亜鉛華デンプンによる治療が有効であった2例が報告された.腫瘍サイズが大きいまま外科的に治療した場合,皮膚欠損範囲が大きく,治癒に時間を要する.まず亜鉛華デンプン外用で腫瘍の縮小を目指すことで,治療侵襲性を小さく出来る可能性がある.また,自験例のように完全消退する可能性もある.