著者
幕内 忠夫 宇野 則男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.483, 2011

当院における東日本大震災の被害と対策平成23年3月11日に起きた東北、関東地方を含む「東日本大震災」は、甚大な被害のあった東北三県とは比較にはならないが、茨城県内でも多数の被害が発生し、地域によっては現在も被災が継続している状況である。当院もまた少なからず影響を受けた。今回は震災当日の当院の被害と避難状況、ライフラインの確保への経緯、そして震災後の事後対策について報告する。震災当日は平日であったので午後とはいえ、入院患者のみならず外来診察者も多数院内に滞在していた。発生当時は停電もあり多少パニック気味であったが揺れが収まりしだい、災害対策本部が立ち上がり指令系統により職員各自は冷静に対応していたと思える。本館を含む建物が老朽化しているため患者方は院外へ避難誘導、身体不自由者は人力による車いすあるいはベッド毎の運搬。エレベーターは使用出来ないので階段を使用した。自家発電装置への人力での燃料運搬。停電が長く続くと燃料不足が懸念されたが、土浦消防署を通して、ようやく配達してもらうことが出来た。また非常食の炊事用のプロパンガスの確保も同時に進行した。当日午後10時を過ぎた頃に漸く電気が復旧した。何度か大きな余震が続いたため、非常時に備えて職員の多くは院内に待機宿泊の形となった。その後、被害箇所の確認、通行禁止区域の表示、不足が予想された飲料水、非常食の他施設からの援助による確保等が行なわれ、徐々に修繕作業も進行し現在に至っているが、未だ手つかずの状態の箇所も少なくない。今回の過去に類を見ないほどの震災を経験して、普段からの準備と人のつながりがいかに大切か痛感させられた。今後の対策として、充分な飲料水、非常食の確保、燃料の備蓄、災害時のみではない近隣の施設や業者との連携の強化を進めることが肝要である。