著者
高薄 敏史 菱山 豊平 平 康二 中村 豊 竹内 幹也 近藤 哲 加藤 紘之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.254-258, 2001-01-25 (Released:2009-08-24)
参考文献数
12

杙創(刺杭創, Impalement injury)は刺創の要素に加えて鈍的外傷の要素をもつ穿通性挫創とも言うべき特異な開放性損傷である.われわれは最近15年間に杙創8例を経験したので治療法の選択を中心に報告する.患者は全例男性で年齢は12~57歳(平均38.9歳)であった.刺入経路,損傷臓器の有無を確認するために腹部X線検査, CT検査および刺入路造影を行った.治療法としては刺入路を十分検索し,デブリードマン,ドレナージを行い,臓器損傷を合併した場合はそれらを修復し,必要に応じて人工肛門,膀胱瘻を造設した.その結果, 1例に術後の肺塞栓を認めたが, 8例全例を救命しえた.杙創における治療方針はまず刺入路を明かにしたうえで,損傷臓器を的確に把握し,それに対する処置を的確に行うことで救命率を高め得る.