著者
兼城 達也 與那覇 俊美 平安山 英義
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.129-133, 2014 (Released:2014-08-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

要旨:Paget-Schroetter 症候群は健常な若年者に突然発症する比較的稀な疾患であり,その治療法について一定の見解が得られていない。症例は40 歳代男性で,突然発症した右上肢の腫脹を主訴に当院受診し,エコーとCT で右鎖骨下静脈の血栓閉塞を認めて入院となった。カテーテルによる鎖骨下静脈造影+血栓吸引・溶解療法を施行し,Paget-Schroetter 症候群と診断した。引き続いて根治手術を行った。手術は右鎖骨下アプローチによる右第一肋骨部分切除,肋鎖靱帯切除,前斜角筋離断を行い,術中造影でその中枢側の鎖骨下静脈に狭窄を認めた。胸骨柄にL 字切開を加えて鎖骨下静脈狭窄部のパッチ形成術を行った。術後経過は良好で退院後は術後8 週間の抗凝固療法を継続した。術後1 年間のfollow up で再発を認めていない。