著者
中田 晴彦 小林 悟 平山 結加里 境 泰史
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.555-566, 2004 (Released:2005-06-03)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

近年, 有明海では漁獲量の減少, 赤潮の発生, 養殖ノリの色落ちなど水産資源をめぐる問題が顕在化しており, その要因の一つに化学汚染による生態系への影響が疑われている。そこで, 有明海の貝類を対象に有機塩素化合物, 多環芳香族炭化水素, 有機スズ化合物の汚染調査を行った結果, 一部の河川において顕著な汚染源の存在が明らかとなった。巻貝の生殖器異常が高い頻度で観察され, 船底塗料由来のトリブチルスズによる影響が示唆された。