著者
吉井 善弘 伊東 昭芳 平嶋 恒亮 真 鍋修
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.1, pp.70-74, 1985-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

フェノールの硫酸によるスルホン化とヒドロキシフェニルスルホニル化を行ない反応温度と配向比の関係を調べた。その結果,スルホン化では高温になるほど動力学的支配による配向比および熱力学的支配匿よる配向比(o/p比)は減少した。一方,スルホニル化では高温になるほど,動力学的支配による配向比(2,4'/4,4比)は減少するが,熱力学的支配による配向比は増加することが判明した。スルン化,スルホニル化の等運温度ばそれぞれ -24,36℃ であった。これらの結果はスルホン化,スルホニル化はともに, o-位, p-位への反応の等速温度が異常に低く実際的な反応は等速温度より高い条件で行なわれていることおよび o-フェノールスルホン酸が p-異牲体より安定であり,ジヒドロキシジフェニルスルホンでは逆に 4,4'-異性体が 2,4-異性体より安定であることに基因することを明らかにした。
著者
吉井 善弘 伊東 昭芳 平嶋 恒亮 真鍋 修
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1986, no.8, pp.1117-1121, 1986
被引用文献数
2

Friedel-Crafts反応によるo-キシレン,インダンとテトラリンのフェニルスルホニル化を行ない,反応温度と配向比(3-位/4-位)の関係を調べた。その結果,インダンの配向比は高温になるほど増加するが,o-キシレンとテトラリンでは減少した。log(3-/4-)と1/Tの関係から,o-キシレン,インダンとテトラリンの3-位と4-位の活性化エネルギー差およびエントロピー差はそれぞれ,-O.39kcal/mol,2.Oe.u./mol;0.16,-O.2;-O.31,-1.5であった。また,o-キシレンとテ- ドラリンには等速温度があり,それぞれ-81,-62℃ であった。これらの結果はo-キシレンとテトラリンのフェニルスルポミニル化は求めた配向比は等速温度より高い温度であること,インダンでは低い温度であることがわかった。また,o-キシレンとテトラリンの3-位にくらべ4-位の大きい反応性は塩化アルミニウムの強い酸触媒作用と3-位の脱プロトン化の塩基触媒作用の協奏反応機構で説明できることを明らかにした。