著者
吉留 浩 佐藤 健一郎 長友 博文 水田 隆史 佐藤 邦彦 古野 鶴吉 上野 貞一 平川 今夫 安部 二生
出版者
日本茶業技術協会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
no.111, pp.1-13, 2011-06

'はるのなごり'は,1986年に宮崎県総合農業試験場茶業支場において埼玉1号'を種子親,'宮崎8号'を花粉親として交配した中から選抜し,2008年に品種登録出願し,公表されたやや晩生の煎茶用品種である。1998年から2006年まで'宮崎25号'の系統名で16場所で系適試験.2場所で特性検定試験(もち病,裂傷型凍害)が実施された。その結果,炭疽病及び輪斑病に抵抗性を有し,晩生で収量及び品質が優れることから普及に移し得ると判断され,2008年10月20日に種苗法に基づく品種登録出願を行い,同年12月19日に公表された。'はるのなごり'の特性の概要は次のとおりである。1)一番茶の萌芽期は,'やぶきた'より4日程度,摘採期は3日程度遅いやや晩生品種である。2)樹姿はやや開張型,樹勢はやや強,株張りは'やぶきた'より大きい。3)耐病性は,炭疽病には強,輸斑病にはやや強,もち病には中である。4)クワシロカイガラムシに対する抵抗性は中で,'やぶきた,かなやみどり'より優れる。5)耐寒性は,赤枯れにはやや強,裂傷型凍害にはやや弱~中である。6)収量は'やぶきた'より多い。7)煎茶品質は,'やぶきた'と同程度で,'かなやみどり'より色沢,香気が優れている。