著者
平川 晴久 林田 嘉朗
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.117-129, 2002-06-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
3 2

低酸素によって引き起こされる自律神経系と循環系の反応、および暴露直後にみられる心拍の反跳現象について解析を行った. 血圧測定用カテーテル, 心電図そして腎交感神経活動記録用電極を慢性に植え込んだWistar ratを用い, hypocapnic (Hypo), isocapnic (Iso), hypercapnic (Hyper) hypoxiaの暴露を行った. Isoでは, 血圧及び心拍数は変化しなかったが, Hypoでは, 血圧は低下し心拍数は増加, Hyperでは, 血圧は上昇し心拍数は低下した. 腎交感神経活動はいずれにおいても増加した. IsoとHyperの終了直後, 心拍数は一過性に増加した. この心拍反応は, 腎交感神経活動の反応とは相関しなかった. このことより, この心拍の反跳現象は, 交感神経よりもむしろ副交感神経系のメカニズムによるものと考えられた. 低酸素時の循環反応は動物により異なると考えられているが, 類似した条件において行われた実験においては種差に関わらず, その結果は, ほぼ一致するものであった.
著者
平川 晴久 原口 桂 林田 嘉朗
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2002-03-01

【背景】作業関連疾患の一つである高血圧性疾患の発症には、個人の生活習慣や感受性が大きく関与する。この高血圧の病態にはレニン-アンギオテンシン系及び一酸化窒素(NO)が、交感神経系と共に重要な因子と考えられてきた。近年、アンギオテンシンII(ANG II)とNOは相互作用を持ち、交感神経活動を調節している可能性が示唆された。【目的】塩分制限が交感神経活動に対するANG IIとNOの相互作用をどのように変化させるかを検討した。【方法】実験は、意識下のラビットを用い、3週間の塩分制限を行った群及び行わなかった群の2群について行った。NO合成阻害剤(L-NAME)とそれに続くANG II受容体拮抗剤(losartan)の投与を行い、腎交感神経活動を観察した。いづれの投与後も圧受容器反射の影響を除くため血圧は、コントロール・レベルに維持した。【結果および考察】塩分制限を行った群では、L-NAME投与によるNO合成阻害により、交感神経活動は増加した。この増加は、losartanの投与によるANG II受容体の抑制により消失した。これより、NO合成限害後の交感神経活動の増加は、ANG II増加によると考えられた。一方、塩分制限を行わなかった群では、NO合成阻害、およびNO合成阻害後のANG II受容体抑制のいづれでも交感神経活動は変化しなかった。【結語】塩分制限は、ANG IIを増加による交感神経活動促進、それと同時にNO合成の促進による交感神経活動抑制を引き起こす。この2つが相互干渉することにより、交感神経活動、血圧は維持されることが示唆された。