- 著者
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平林 直樹
秦 淳
須藤 信行
清原 裕
二宮 利治
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.7, pp.718-723, 2017 (Released:2017-07-01)
- 参考文献数
- 4
近年の疫学研究により, 糖尿病はアルツハイマー病 (AD) 発症の危険因子として注目されている. さらに, 画像解析技術の進歩により頭部MRIを用いて脳の容積を部位別に定量的に計測することが可能となり, 糖尿病と脳の形態学的変化との関連を検討した疫学研究の報告が散見されるようになった. 福岡県久山町の疫学調査 (久山町研究) の過去約30年の成績によると, 認知症, 特にADの有病率は人口の高齢化を超えて急増し, また糖尿病など糖代謝異常の有病率も上昇している. 久山町研究ではこれまでに糖尿病がAD発症や剖検脳における老人斑形成と関係することを報告した. また, 2012年に65歳以上の久山町住民を対象に実施した頭部MRIデータを用いた脳画像研究では, 糖尿病者, 特に糖負荷後2時間血糖値が高い者は, 正常耐糖能者に比べ海馬容積が有意に小さいことを明らかにした. さらに, 糖尿病の罹病期間が長く診断時期が早期であるほど, 海馬萎縮がより顕著であった.