著者
近藤 律男 平田 佳代子 谷垣 裕二 堀内 長一 佃 守
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.46-52, 2005-02-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
7
被引用文献数
2

レボフロキサシン (LVFX) はニューキノロン系抗菌薬であり, postantibiotic effect (PAE) を有し抗菌作用は濃度依存的である。この事実より肺炎や急性上気道炎に対しレボフロキサシン1日400mg分2投与法の有用性が報告されている。急性上気道炎については大部分がウイルス感染であり, 自然治癒することも多いため, 本研究では急性上気道炎の中でもより細菌感染の頻度が高いと考えられる急性扁桃炎に対し, レボフロキサシン1日400mg分2投与法による臨床効果および有効性について, 1日300mg分3投与法と封筒割付け法により分別し比較検討した。対象はレボフロキサシン1日400mg分2投与群25例.レボフロキサシン1日300mg分3投与群25例である。解析方法はデータの質に応じ, X2検定, t検定, Wilcoxon順位和検定をそれぞれ用いた。なお有意水準は5%とした。臨床効果, 治癒率, 平均治癒日数などすべての項目で有意差は認めなかったものの, 400mg分2投与法の有効性と安全性が確認された。また服薬コンプライアンスの点では400mg分2投与法は300mg分3投与法と比較し, より優れた投与法であると考えられた。
著者
平田 佳代子 佃 守 古川 滋 河野 英浩 河合 敏 榎本 浩幸 小勝 敏幸 三上 康和 陰里 ゆうみ 稲葉 鋭
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.48-56, 1997-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22

慢性副鼻腔炎患者44例に対してレボフロキサシン少量長期投与 (100mg/日, 8週間) を行い, 臨床効果を検討した. 投与8週目の著明改善と改善を合わせた改善率は, 自覚症状では鼻漏29%, 後鼻漏41%, 鼻閉42%, 頭重・頭痛52%, 嗅覚障害53%, 他覚所見では鼻粘膜の発赤30%, 鼻粘膜の浮腫42%, 鼻汁の量55%, 鼻汁の性状61%, 後鼻漏70%であった. 自覚症状, 他覚所見, 臨床症状の総合評価でのt検定では有意な改善を見 (P<0,001), 副鼻腔X線所見でも明らかな改善を認め(P<0.001), 副作用は全くみられず, この治療法の有用性が示された. 臨床症状の改善率は投与4週目より8週目が高かつた. また鼻汁の細菌検査では細菌学的効果と臨床症状が相関せず, レボフロキサシン少量長期投与の効果には抗菌作用以外の作用機序の関与が示唆された.