著者
花田 定晴 岡戸 敦男 濱野 武彦 平野 佳代子 宮下 浩二 小林 寛和
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.205, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】 腰痛の発生は、様々な身体機能の低下が相俟って腰椎-骨盤リズムの乱れなどを生じさせることが問題となる。それが動作時の問題を誘発させ、痛みの発生につながると考えられる症例を多く経験する。その中で、特に股関節の可動域制限は腰痛を誘発する重要な要因の一つである。 今回は腰痛の発生要因の一つである股関節の関節可動域に限定し、動作時の痛みの発生パターンとの関連を定量的に調査した。【対象と方法】 対象は平成4年4月より平成14年10月までに当所にて腰痛症と診断され、理学療法を実施した男性179名とした。 対象を体幹運動の方向と痛みの発生の関係から_丸1_体幹屈曲時に痛みが生じる屈曲型、_丸2_体幹伸展時に痛みが生じる伸展型に分類(川野)した。また、この2項目に分類されないものは対象から除外した。内訳は、屈曲型52名(年齢21.6±9.7歳、身長171.2±5.1cm、体重64.1±11.8kg)、伸展型127名(年齢19.7±8.4歳、身長169.6±8.8cm、体重63.9±14.1kg)であった。 理学療法記録より下肢伸展挙上(以下、SLR)、股関節伸展、外旋、内旋の関節可動域を調査し、各々の項目について屈曲型と伸展型の間で比較した。検定はt検定を用い、有意水準5%未満とした。【結果】 関節可動域の平均値はSLRでは屈曲型74.9±11.1度、伸展型77.9±10.9度であり有意差がみられた(p
著者
梶谷 卓也 平野 佳代子 澤木 弘之 浜田 誠一郎 平 雅成 永吉 顕 ?梨 晃 萩原 秀彦(MD)
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.141, 2011

【目的】<BR> サッカーは,キック動作を多用する下肢を中心とした動きの連続で,下肢外傷の発生頻度は高い.特に,股関節周囲の慢性的な疼痛を訴える選手が多く,その治療と予防には力が注がれている.競技特性として,ポジション別に身体操作に特徴があり,特にサイドプレーヤーでは,左右の下肢へ加わるストレスに違いがある.支持脚と蹴り脚について,大腿四頭筋の筋力や重心動揺など多くの研究がなされているが,両者の差は明らかにされていない.また,股関節機能に対する研究や,ポジション別に左右差を検討した報告は少なく,検討の余地がある.<BR> 本研究では,ポジション別の特性が股関節の機能に与える影響に着目し,利き脚と非利き脚における筋力及び可動域(以下ROM)について検討し,若干の知見が得られたので報告する.<BR>【対象】<BR> 本研究の趣旨を理解し同意を得た,下肢に既往のない高校サッカー選手20名(年齢17.2±0.7歳,身長170.9±6.3cm,体重62.5±6.4kg)とし,各ポジションの競技歴が3年以上の者を選定した.内訳は,センタープレーヤー10名(以下CP群),サイドプレーヤー10名(以下SP群)とした.尚,利き脚はキック動作を多用する側とし,SP群では,全員が利き脚と同側のポジションであった.<BR>【方法】<BR> 股関節外転・内転・外旋・内旋のROMと筋力を,下記の方法で測定した.A)ROM:日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会に準じ,角度計を用いて計測した.B)筋力:徒手筋力計(μTasF-1)を用いて各2回測定し,平均値を求めて体重比を算出した.統計学的処理は,CP群とSP群で各項目の利き脚と非利き脚における差について,対応のないt検定を用い比較検討した(P<0.05).<BR>【結果】<BR> CP群は,全ての項目で有意差は認められなかった.SP群は,筋力で内転(利き脚:0.903±0.15Nm/kg,非利き脚:0.739±0.14 Nm/kg),内旋(利き脚:0.736±0.18 Nm/kg,非利き脚:0.591±0.10 Nm/kg)に有意差が認められ,その他の項目では認められなかった.<BR>【考察】<BR> 結果より,CP群では差はなかったが,SP群において股関節内転・内旋筋力で,利き脚が非利き脚より高値を示した.SP群は,同一脚,特に利き脚でのキック動作を多用し,中でもインフロントキックを用いる局面が多い.インフロントキックは,テイクバックから股関節内転・内旋運動によって,インパクト,フォロースルーへ移行することが特徴的であり,結果との関連性が考えられた.従って,サッカー選手ではポジションの特性により,股関節機能に影響を与えることが示唆された.<BR>