著者
平野 博文 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.335-339, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕座位上肢リーチ動作の際の重心移動・殿部~下肢の床反力や胸郭~骨盤角度を運動学・運動力学的に分析し,その特性を明確にすることである.〔対象と方法〕若年健常者20名とした.座位姿勢で前方方向へ右手を伸ばす課題を行った.開始姿勢から目的物把持姿勢までの重心位置・床反力上下成分・体幹角度や骨盤角度の変化量を計測した.〔結果〕目的物の方向へ重心移動を行っていたが,床反力は非リーチ側の殿部へ留めて動作を行うことがわかった.角度の変化量では胸郭角度は,前傾・右側方傾斜・左回旋,骨盤角度は,前屈・右側方傾斜・左回旋,骨盤胸郭相対角度は前傾・右側方傾斜・左回旋とほとんどが共通した結果となった.〔結語〕健常者の前方リーチ動作は,非リーチ側殿部の床反力変化量を残存させながらそれらを基盤とし,動作戦略が図られることが示唆された.