著者
濱田 桂佑 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.463-467, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
15
被引用文献数
8 5

〔目的〕本研究の目的は,静的ストレッチングがジャンプ能力に及ぼす効果について,生理学面ならびに機能面の2つの側面から検討することである。〔対象〕対象は,健常学生20名であった。〔方法〕静的ストレッチング前後で,生理学面として伸張反射の潜時,機能面として等運動性筋力(60 deg/secと240 deg/sec),ジャンプ能力として垂直跳び,立ち幅跳びを計測した。〔結果〕各項目を静的ストレッチング前後で比較したところ,ストレッチング後に伸張反射発現までの潜時,60 deg/secの筋力,垂直跳び,立ち幅跳びは有意に低下していた。〔結語〕静的ストレッチングを行った後にジャンプ能力が低下した。その原因として,筋紡錘の感受性低下ならびにゴルジ腱器官の関与による,筋緊張の調節にかかわる中枢神経系の筋緊張抑制メカニズムに基づく筋緊張低下に伴う筋力低下に加えて,伸張反射発現までの時間の延長によって筋収縮にタイミングの遅れが生じたことが示唆された。
著者
藤本 修平 小向 佳奈子 杉田 翔 小林 資英
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.669-674, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
26
被引用文献数
3

〔目的〕リハビリ分野のRCT論文において,研究結果を印象付けるために本来目的とした結果以外を強調するSPINについて検証することとした.〔対象と方法〕対象文献の検索は MEDLINEなどを用いた.本文中に主要アウトカムが明記されておらず,かつ主要アウトカムの結果が統計的に有意差を認めるものは除外した.SPINは,抄録と本文の内容を比較し,主要アウトカムが有意でないものの介入の利益を強調するように記載しているか評価した.〔結果〕SPINであった抄録は32/42件(76.2%)で,本文の結果では20/42件(47.6%)であった.〔結語〕リハビリ分野のRCT論文の内容は,抄録の内容や本文の結果,考察からのみから判断することの危険性が示唆された.
著者
伊佐次 優一 乾 淳幸 佐藤 優 廣瀬 健太 山田 拓実
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.679-683, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
20

〔目的〕変形性膝関節症患者の膝蓋骨周囲へ筋膜リリースを実施し,膝関節屈曲可動域および膝蓋下脂肪体(IFP)の厚みの変化を検討した.〔対象と方法〕対象は膝関節屈曲可動域制限を有する高齢女性の内側型変形性膝関節症患者25例(年齢は70.9 ± 9.9歳,OA gradeは2.1 ± 1.0)とした.評価方法は介入前後に殿踵間距離(HBD)を測定し,IFPの厚みは超音波画像による短軸像にて計測した.介入方法は膝蓋骨離開リリース,膝蓋骨上方・下方リリースを各3分間実施した.〔結果〕HBDは平均14.2 cmから10.1 cmと改善し,IFPの厚みは,平均21.6 mmから20.7 mmと減少した.〔結語〕膝蓋骨周囲への筋膜リリースはHBDの改善に有効であった.IFPの厚みの変化による臨床的意義に関しては,今後さらなる検討が必要である.
著者
加藤浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.479-483, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕術後の変形性股関節症(変股症)患者に対し,踵接地を意識させた部分荷重歩行訓練が股関節外転筋筋活動に及ぼす影響を表面筋電図を用いて検討することである.〔対象〕変股症患者10例と健常者10例とした.〔方法〕積分筋電図解析とwavelet周波数解析を用い歩行時に踵接地を意識した歩行と意識しない歩行とで,中殿筋の筋活動の程度を示す指標を比較した.〔結果〕歩行時に踵接地を意識することで変股症患者の中殿筋における筋活動の程度は有意に増大した.〔結語〕踵接地を意識させた歩行訓練は,股関節外転筋の量的及び質的トレーニングに有効な手段となり得る.
著者
芳野 純 臼田 滋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.651-655, 2012 (Released:2013-01-30)
参考文献数
18
被引用文献数
9 4

〔目的〕理学療法における臨床能力評価尺度(Clinical Competence Evaluation Scale in Physical Therapy: CEPT)の開発と信頼性を検証すること.〔方法〕CEPTは先に実施した質的研究を参考に53項目とした.対象はすべて理学療法士で,経験年数3年未満の被指導者,その主指導者と副指導者各30名で計90名であった.被指導者と主指導者の検者内信頼性と,主指導者と副指導者間の検者間信頼性を検証した.〔結果〕CEPTの得点は,自己評価である被指導者の点数が,主指導者と副指導者評価より低値であった.項目毎および合計点について,被指導者と主指導者ともに中等度から高い検者内信頼性を認めたが,検者間信頼性は低い結果となった.〔結論〕53項目からなるCEPTを開発し,中等度から高い検者内信頼性が認められた.
著者
上條 史子 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.445-450, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

〔目的〕体幹機能評価として用いられるTrunk Impairment Scale(TIS)と歩容との関係を片麻痺者で検討することである.〔対象〕男性片麻痺者14名とした.〔方法〕三次元動作解析システムを用い,対象者の歩行を計測した.また,対象者の体幹機能はTISを用いて評価し,歩行中の体幹の動態とTISの項目との関係を検討した.〔結果〕麻痺側立脚後期の体幹の動態とTISの動的項目・協調性項目の結果に関係が認められた.特に骨盤と中部体幹間の回旋とTISに相関が認められた.〔結語〕TISの動的項目と協調性項目は,片麻痺者での歩行中の体幹の動態を評価できると示唆された.特に,立脚後期の体軸内回旋を反映すると考えられた.
著者
山本 裕晃 伊良部 諒馬
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.279-282, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
13

〔目的〕高齢者を対象に下肢反復開閉運動による敏捷性運動が歩行速度に与える即時的な影響について検討し,下肢反復開閉運動のトレーニングとしての有用性を見出すこととした.〔方法〕対象は65歳以上の高齢者14名(男性4名,女性10名,平均年齢73.1 ± 5.4歳,身長158.1 ± 11.2 cm,体重53.2 ± 12.2 kg,BMI 21.2 ± 3.8 kg/m2)とした.下肢反復開閉運動前後の歩行速度を測定し,比較検討した.〔結果〕下肢反復開閉運動前と比較して下肢反復開閉運動後は歩行速度が有意に高く,下肢反復開閉運動が歩行速度に与える即時的な影響が確認された.〔結論〕高齢者は下肢反復開閉運動により歩行速度に即時的な影響を与えることが確認され,下肢反復開閉運動のトレーニングとしての有用性が示唆された.
著者
世古 俊明 隈元 庸夫 高橋 由依 金子 諒介 田中 昌史 信太 雅洋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.857-860, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
15
被引用文献数
4

〔目的〕大殿筋,中殿筋の筋活動量を運動の違いで,股伸展,外転トルク値を肢位の違いで比較検討すること.〔対象と方法〕健常成人男性10名の大殿筋,中殿筋,大腿二頭筋,腰部背筋を導出筋とした.運動は股伸展と外転とし,側臥位での股屈曲90度,0度,伸展15度の3肢位で実施した.また運動時の股伸展,外転トルク値を測定した.〔結果〕大殿筋の筋活動量は伸展15度では伸展運動時に,屈曲90度では外転運動時に高値を示した.中殿筋の筋活動量に,差は認められなかった.股伸展トルク値は肢位の違いで差は認められず,外転トルク値は屈曲0度で高値を示した.〔結語〕大殿筋,中殿筋の解剖学的筋走行の特性が筋電図学的に裏付けられた.
著者
古谷 友希 柊 幸伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.835-838, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

〔目的〕加速度センサを使用し,衝撃吸収が行われる主な部位を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象者は男性11名,平均20.8±2.44歳の健常者を実験対象とした.踵骨部,腓骨部,大腿外側部の合計3台のセンサからデータを集積し,Friedman検定(Tukeyの方法)を用いて統計的有意差を検討した.〔結果〕踵骨部,腓骨頭部,大腿部での加速度(deg/sec/BW/WS)はそれぞれ4.2 ± 1.2,0.2 ± 0.03,0.1 ± 0.06だった.同様の部位のRMS(m/s2rms/WS2)はそれぞれ68.7 ± 20.9,5.4 ± 0.8,3.7 ± 1.6だった.踵骨部での加速度と腓骨部での加速度,踵骨部での加速度と大腿部での加速度の間において有意に差があった(p<0.01).腓骨部での加速度と大腿部での加速度の間に有意な差はなかった.踵骨部でのRMS値と腓骨頭部でのRMS値の間において有意に差があった(p<0.05),踵骨部でのRMS値と大腿部でのRMS値の間において有意に差があった(p<0.01).腓骨頭部でのRMS値と大腿部でのRMS値の間に有意な差はなかった.〔結語〕正常歩行中の衝撃は足関節で多く吸収されていることが判明した.
著者
解良 武士 古泉 一久
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.767-775, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
35
被引用文献数
4

最近,マラソンブームもあり持久系競技選手への呼吸筋トレーニングが注目されるようになった。しかし持久系競技選手に対する呼吸筋トレーニングの是非については議論されるところである。これまでのところ呼吸筋トレーニングによって持久性運動パフォーマンスが向上した報告と呼吸筋機能は向上しても持久性運動パフォーマンスは向上しない報告の双方がある。本稿は呼吸筋機能と持久性体力との関係,これまでの持久系競技選手への呼吸筋トレーニングに関する研究を解説し,持久系競技選手への呼吸筋トレーニングについて考察する。
著者
市橋 則明 池添 冬芽 羽崎 完 白井 由美 浅川 康吉 森永 敏博 濱 弘道
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.79-83, 1998 (Released:2007-03-29)
参考文献数
6
被引用文献数
5 5

本研究の目的は,健常男性12名を対象に,各種ブリッジ動作中の股関節周囲筋の筋活動量を明確にし,さらに各筋のMMT3の筋活動と比較することである。測定筋は,大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,大内転筋とし,各筋の整流平滑化筋電図を求めた。その結果,両脚ブリッジの筋活動量は20%以下の低い筋活動であった。一方,片脚ブリッジの筋活動量は,股伸展・外転筋で高い値を示し,両脚ブリッジと比較し,すべての筋において有意に増加した。MMT3の筋活動とブリッジ動作を比較すると,大内転筋を除いて片脚ブリッジの方が大きい筋活動を示した。本研究結果より,片脚ブリッジは大殿筋だけでなく中殿筋や大腿筋膜張筋の筋力トレーニングとして有効であることが示唆された。また,片脚ブリッジをするためには,MMT3以上の筋活動が必要であり,訓練処方の1つの基準となると考えられる。
著者
掬川 晃一 永井 公規 伊藤 豪司 大舘 哲詩
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.391-397, 2023 (Released:2023-12-13)
参考文献数
10

〔目的〕回復期リハビリテーション病棟の取り組みとして,心機能評価票を用いた心疾患リハビリテーション実施前後における療法士の意識の変化をアンケート調査した.〔対象と方法〕療法士21名の意識変化を,評価票で患者の心機能を把握して心疾患リハビリテーションを実施した後,意識項目およびその反転項目それぞれ14問の設問への回答を,7件法のアンケートで調査した.〔結果〕回答が高値の3項目は,評価票の有用性,運動負荷の調整,知識の獲得の順であった.心機能評価票使用前の心疾患リハビリテーション実施に対する自信は低値で,対象者のほとんどで自信がなかったが,心機能評価票の使用後は有意な向上を認めた.〔結語〕評価票で患者の心機能を把握し,リハビリテーションを行うことは,療法士の自信の向上につながる一助になると考える.
著者
安彦 鉄平 島村 亮太 安彦 陽子 相馬 正之 小川 大輔 新藤 恵一郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.935-938, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
19

〔目的〕体幹と骨盤の動きを必要とする座位に着目し,骨盤の傾斜角度の違いが背筋群の筋活動に与える影響を検討した。〔対象〕腰痛の既往のない健常成人男性10名。〔方法〕測定肢位を骨盤軽度後傾位(以下後傾位)と骨盤軽度前傾位(以下前傾位)とし,課題を安静座位と腹部引き込み運動とし,肢位と課題の組み合わせの4条件下での腰部脊柱起立筋と腰部多裂筋の筋電図を導出した。課題間の比較は,一元配置分散分析後,多重比較検定を実施した。〔結果〕安静座位と腹部引き込み運動の課題において,多裂筋の筋活動は後傾位に対し前傾位で有意に増加したが,脊柱起立筋の筋活動に有意な差はなかった。これは骨盤前傾作用として多裂筋の筋活動が増加したと考える。〔結語〕前傾位は脊柱起立筋の筋活動を有意に増大することなく,選択的に多裂筋の筋活動を高めることができる姿勢と考える。
著者
中村 浩一 兒玉 隆之 向野 義人
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.131-135, 2014
被引用文献数
2

〔目的〕格闘技選手においてstate-trait anxiety inventory(STAI)とemotion intelligence scale(EQS)から精神的特性を検討した.〔対象〕格闘技選手(健常男性80名,平均年齢22.6 ± 4.7歳)とした.〔方法〕STAIとEQSを実施し,ボクシングとキックボクシング(打撃群),柔道とレスリング(組み技群)に分け,群間及び競技種目間で比較検討した.〔結果〕STAIでは,群及び競技種目間に差はみられなかったが,状態不安,特性不安が基準値に対し高値の傾向にあった.EQSでは,打撃群が組み技群に比べ「自己対応」が有意に高値,「対人対応」が有意に低値であった.〔結語〕格闘技選手の精神的特性として,不安を抱えやすい傾向にあり,競技特性が情動知能の対応領域に差をもたらす可能性が示唆された. <br>
著者
浦田 龍之介 鈴木 満里乃 山本 真生 伊藤 将円 鈴木 皓大 伊藤 梨也花 伊藤 晃洋 飯島 進乃 屋嘉比 章紘 鈴木 彬文 井川 達也
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.188-192, 2023 (Released:2023-06-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1

〔目的〕本邦理学療法分野の症例報告における情報の欠落の実態について調査することとした.〔対象と方法〕2019年に日本国内の学術雑誌に掲載された理学療法に関する症例報告を対象とした.医中誌Webを含む4つの電子検索データベースを用いて文献を網羅的に収集した.症例報告における情報の欠落について,CAse REport guidelinesを用いて評価した.〔結果〕253件の症例報告が選択された.患者の個人情報の項目では遵守率が100%であった.アブストラクトと本文に関する計12項目では,遵守率は50%未満であった.〔結語〕本邦理学療法に関する症例報告のなかには,必要情報の欠落により読者の誤解を招く表現が用いられている可能性が示唆された.
著者
栗田 慎也 髙橋 忠志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.41-45, 2021 (Released:2021-02-24)
参考文献数
22
被引用文献数
3

〔目的〕急性期病院で脳卒中片麻痺患者に長下肢装具(KAFO)を作製することが回復期リハビリテーション病棟(回復期リハ病棟)退院時の歩行能力と下肢装具の使用継続の有無を調査した.〔対象と方法〕重度運動麻痺を呈した脳卒中片麻痺患者18名を対象とし,KAFOの作製群と非作製群に振り分け,機能的自立度評価法(FIM)の歩行と階段の経過と下肢装具の利用状況を調査した.〔結果〕両群ともにFIM歩行・階段が時間経過で有意な差を認めたが,作製群で回復期リハ病棟退院時のFIM歩行・階段と下肢装具の脱却割合に有意な差を認めた.〔結語〕急性期病院における KAFO の作製は,回復期リハ病棟退院時の歩行・階段能力改善と下肢装具脱却の効果があることが示唆された.
著者
竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.103-107, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

Myofascial Release(筋膜リリース)とは筋膜の単なる伸張ではなく、筋膜のねじれをリリース(解きほぐす)することにある。筋膜制限に適用された隠やかな伸張は、熱を引き出し、リンパドレナージを改善し、筋膜組織を再編成し、そして最も重要である軟部組織固有感覚の感覚機構をリセットする。この活動により、中枢神経系が再プログラミングされる。さらに、運動療法あるいは神経発達学的治療を組み合わせることで、患者は新しい運動を学習でき、機能的な巧緻活動場面の中でその運動を応用していくことも可能となり、自立した機能の獲得へと前進する。最終的には最適の機能とパフォーマンスを最少のエネルギー量で達成できることが目標となる。
著者
牧迫 飛雄馬 阿部 勉 藤井 伸一 住谷 久美子 吉松 竜貴 徳原 理恵 小林 修二 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.203-206, 2005 (Released:2005-09-02)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

在宅における歩行能力評価としての可能性を探ることを目的に,1.5 m,5 mおよび10 m歩行を分析し,その妥当性を検討した。対象は,理学療法を実施している入院患者40例(平均年齢70±12歳)で,快適および最大速度歩行中の1.5 m,5 m,10 mの各地点を通過した所要時間,歩数を計測し,歩行速度,歩行率,歩幅を比較した。その結果,快適および最大歩行ともに歩行距離による歩行速度,歩行率,歩幅の有意差は認めなかった。また,歩行速度,歩行率,歩幅ともに快適速度,最大速度条件において1.5 m歩行は5 m歩行,10 m歩行のそれぞれと有意に高い相関関係を認めた。以上より,1.5 mでの歩行測定は,5 m歩行および10 m歩行同様に歩行能力評価指標のひとつとして活用できる可能性があると考えられた。
著者
鵜崎 智史 坂口 顕 川口 浩太郎 塚越 累 日高 正巳 藤岡 宏幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.945-949, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
19

〔目的〕筋損傷後の筋収縮力回復に対する微弱電流刺激(MES)の効果を明らかにするため,筋損傷モデルラットを用いた介入実験をおこなった.〔対象〕対象は10週齢Wistar系雌ラットとした.〔方法〕すべてのラットの左腓腹筋に筋挫傷を作成したのち,非介入群とMESを実施する群に分けた.MESは受傷翌日より毎日30分間実施した.評価項目を左足関節底屈の筋収縮力とし,受傷4日目より毎日測定し,非介入群とMES群で比較した.〔結果〕受傷6日目のMES群の筋収縮力が非介入群より有意に高くなった.〔結語〕筋損傷後にMESを実施することで,筋収縮力の回復を早める効果があることが示唆された.
著者
平塚 健太 田宮 高道 松岡 審爾 木村 一志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.361-367, 2021 (Released:2021-06-20)
参考文献数
32
被引用文献数
3

〔目的〕脳卒中患者の発症時における機能評価から15日後の歩行自立因子を決定木分析にて明らかにすること.〔対象と方法〕対象は急性期脳卒中患者612名.発症時における年齢,性別,疾患名,Stroke Impairment Assessment Set(SIAS),Short Form Berg Balance Scale (SFBBS)合計点,Timed Up and Go Test-Reserve(TUG-R),認知Functional Independence Measure(FIM)合計点,10 m歩行テストの計26因子を独立変数,発症15日後の歩行可否を従属変数とした歩行自立予測モデルを作成した.〔結果〕バランス評価であるSFBBSが上位で採択され,強い歩行自立因子であることが示唆された.また,各因子が低値であってもそれを補填するように他の因子と相互関係を持つ結果が得られた.〔結語〕脳卒中発症早期の歩行予測においてもバランス機能や歩行機能を評価する重要性が示唆された.