著者
渡部 文雄 内野 修 城尾 泰彦 青野 正道 東島 圭志郎 平野 礼朗 坪井 一寛 須田 一人
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.673-682, 2000-10-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
22
被引用文献数
33 36

気象庁では1987年1月から綾里、1993年3月から南鳥島、1997年1月からは与那国島において、非分散型赤外線分析計を用い、大気中の二酸化炭素濃度を連続的に測定している。最も観測データが蓄積されている綾里では、エルニーニョ現象やピナトゥボ火山噴火に伴う二酸化炭素濃度増加率の大きな年々変動が見られ、全球的な気候変化と炭素循環の変動が密接に関係していることが示唆される。また、1998年には前年の年平均濃度と比べた年増加量が、綾里では3.0ppm、南鳥島では2.8ppm、与那国島では3.1ppmで、綾里と南鳥島では観測開始以来最大の大きさであった。この大きな年増加量は1997/1998年の大規模なエルニーニョ現象が引き起こしたと考えられる。