著者
和田 誠 古賀 聖治 野村 大樹 小達 恒夫 福地 光男 Makoto Wada Seizi Koga Daiki Nomura Tsuneo Odate Mitsuo Fukuchi
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.271-278, 2011-11-30

2009年に就航した新「しらせ」には,改造した20 ftコンテナを船上実験室として搭載するスペースが確保された.第51次日本南極地域観測隊では,このコンテナ実験室の内部に大気中の硫化ジメチル濃度を測定するためのプロトン移動反応質量分析計を収納し,観測を実施した.本稿では,コンテナ実験室の概要と今後改良すべき点等について報告する.
著者
美濃羽 靖 和田 誠 田中 紡
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.351-360, 2021-10-01 (Released:2021-11-12)
参考文献数
45

本研究では,立木を叩いた際に発生した音を画像化し深層学習を用いて樹高,材積を推定した。立木20本の樹幹を1本につき100回打撃した際に発生した音を録音,0.6秒間における各周波数の音圧を表したスペクトログラムを10,000枚作成し入力画像とした。深層学習システムはNNCを,深層学習アルゴリズムは出力層を回帰層としたLeNetを用いた。学習用データを5セットに分割し,三つの学習パターン(LP-Ⅰ:訓練事例8割,未知事例2割,LP-Ⅱ:大中小三区分から1本ずつ抽出した木を未知事例,LP-Ⅲ:2本ずつ抜出した木を未知事例)の樹高,材積を推定した。推定精度の検証には平均絶対誤差,平均絶対パーセント誤差および決定係数を用いた。その結果,各学習パターンの未知事例に対するR2値は,LP-Ⅲの樹高(0.3672)を除き,非常に高い値(0.9192から0.9996)を示した。LP-Ⅲの樹高では,30 m以上が過小に,30 m以下が過大に推定される傾向を示した。一方,材積はどの学習パターンにおいても全体的に偏りのない推定を行うことができたことから,本手法は材積推定において有効であることが示唆された。
著者
和田 誠 小川 隆申 田村 浩章 山下 公明 大日方 昭善
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.79, no.806, pp.1963-1972, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

The motion of a liquid pouring from a beverage can is experimentally and numerically studied. First, we measure pouring motion for sixteen examinees and find that the can motion in pouring consists of three stages; tipping stage, filling stage, and returning stage. In each stage, the angular velocity of a can is nearly constant, and its average velocity is obtained. A liquid flow from a can rotating at the average angular velocity is visualized with high-speed cameras and is also numerically simulated with the Volume of Fluid (VOF) method. At the beginning of pouring, the liquid from a can opening is once blocked by the rim of a upper lid and then flows over the rim. It falls from the can forming a V-shaped surface, which converges few centimeters below the rim expanding the liquid surface in the direction perpendicular to the V-shaped surface. This results in a wavy pattern of the liquid surface. The computational result agrees with the experiment.
著者
遠藤 誠之 香川 尚己 奥山 宏臣 和田 誠司 左合 治彦
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.205-210, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

脊髄髄膜瘤は, 先天的に下肢の運動障害や排泄障害などの脊髄神経障害とキアリⅡ型奇形をきたす疾患であり, 生後治療で改善できる予後には限界がある. 脊髄髄膜瘤はそれ自体, 致死的疾患ではないが, 長期にわたるQOL低下をきたす疾患であるため, 胎内手術の対象とされた. 2003年から7年間にわたって行われた, Management of Myelomeningocele Study (MOMS) により, 脊髄髄膜瘤に対する胎児手術と出生後治療とがランダム化比較検討され, 2011年に胎児手術の有用性が報告された. 現在, 欧米では脊髄髄膜瘤胎児手術は脊髄髄膜瘤に対して選択できる標準治療の1つとなっている.
著者
安本 亮二 田中 重入 浅川 正純 柿木 宏介 田部 茂 西阪 誠泰 森 勝志 井関 達男 和田 誠次 前川 正信
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.571-575, 1989-04

通常行われている尿路造影法に非イオン性造影剤(iohexol)を用い, 検査前後で尿中逸脱酵素・蛋白がどのような変化を示すかにつき検討した.正常な腎機能を有する9例を対象とし, DIPにて注入スピード10 ml/min, 総投与量100 ml (2.5 ml以下/kg)で静注した.投与前後の尿を採取し, 糸球体濾過能の指標としてアルブミンを, brush-border酵素としてγ-GTPを, lysosomal酵素としてNAGを, 尿細管性蛋白尿の指標としてα1MGおよびβ2MGを測定し, 各酵素と蛋白の尿中排泄量を尿中クレアチニン量と比較検定した.DIP後γ-GTPとNAGの尿中排泄量は有意(p<0.001, 0.02)に増加した.α1MGおよびβ2MGは有意に変化せず, アルブミンの変化は少量であった.今回の検討から, 非イオン性, 低浸透圧性造影剤であるiohexolは尿細管障害が少なく, brush-border酵素であるγ-GTPとlysosomal酵素のNAGは尿細管障害の良い指標となると考えられた
著者
和田 誠 古賀 聖治 野村 大樹 小達 恒夫 福地 光男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.271-278, 2011-11-30

2009年に就航した新「しらせ」には,改造した20 ftコンテナを船上実験室として搭載するスペースが確保された.第51次日本南極地域観測隊では,このコンテナ実験室の内部に大気中の硫化ジメチル濃度を測定するためのプロトン移動反応質量分析計を収納し,観測を実施した.本稿では,コンテナ実験室の概要と今後改良すべき点等について報告する.
著者
和田 誠 中岡 慎一郎 笠松 伸江
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.82-91, 2011-03-28

2009年1月から2月の南半球の夏期間に,東京海洋大学の研究練習船「海鷹丸」にプロトン移動反応質量分析計を搭載して,南大洋の大気中の硫化ジメチル濃度の連続観測を実施した.海鷹丸は昭和基地沖とケープダンレー沖の氷縁域を含む南大洋を航行し,研究観測を実施した.この海域での大気中の硫化ジメチル濃度の連続観測は初めてである.海水中の硫化ジメチル濃度の観測も行われ,そのデータとの対比が可能となった.大気中の連続観測から,昭和基地沖およびケープダンレー沖の氷縁域では,2ppbを越える高い濃度の硫化ジメチルが観測された.
著者
木村 慎也 竹谷 弘 畑中 雅彦 坂口 威 西辻 昭 和田 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式
巻号頁・発行日
vol.95, no.97, pp.9-16, 1995-06-20
被引用文献数
3

南極では、1988年から一年間気象レーダによる雲と降水の観測が行われた。この時、ラジオ・ゾンデによる上空の気温の測定とビデオカメラ装置による地上での降雪粒子の観測も行われた。本論文では、観測されたこれらのデータと、観測されていない南極上空の粒径分布の代わりとして、粒径分布の高度変化を推定し、レーダ方程式から昭和基地上空における降雪強度変化を求めて推定した。
著者
上田 博 梶川 正弘 早坂 忠裕 遊馬 芳雄 菊地 勝弘 和田 誠 ソラス M.K.
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

北極域の気候変動や水循環を解明する上で、ポーラーローを含む北極低気圧の発生・発達過程と北欧北極圏やノルウェー海上での水蒸気輸送や雲、降水粒子の形成過程を明らかにするために、地上リモートセンサーを用いた現地観測を行なった。1999年1月から4月までスウェーデン・キルナで現地のスウェーデン宇宙物理研究所の協力を得て気象観測用Xバンド鉛直ドップラーレーダーのデータを取得した。得られたデータを解析した結果、スウェーデン・キルナ地方の降水はスカンジナビア山脈の影響を強く受け、空気塊の斜面上昇による山岳性降水やノルウェー海上を北上する低気圧に伴う上層の前線からの弱い降水と山脈の強制上昇の影響を受けた下層雲との相互作用によって降水が増強されている様子が観測された。また、1999年10月にノルウェー海の中央に位置するベアー・アイランドのノルウェー気象局の観測所、スピッツベルゲン島・ニーオルセンの国立極地研究所の観測施設に出かけ、北極圏の低気圧に関する資料やデータを収集した。また、その際に簡易気象観測機器を設置して北極圏の低気圧に関してのデータを取得した。これらのデータは厳冬季を含む北欧北極圏やノルウェー海上での雲や低気圧の構造・発達過程、水循環・輸送過程が明らかになり、ポーラーローを含む北欧北極圏での気象擾乱の構造や水・エネルギー循環を明らかにするための基礎データとなることが期待される。
著者
山内 恭 和田 誠 塩原 匡貴 平沢 尚彦 森本 真司 原 圭一郎 橋田 元 山形 定
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

両極におけるエアロゾルの航空機集中観測を通じ、極域のエアロゾルにとって、南極・北極ともに,大気の長距離輸送過程が支配的であることが明らかになり、気候影響の大きい黒色炭素の問題等も興味ある発展が期待される。1.16年度5〜6月に、ドイツ、アルフレッド・ウェーゲナー極地海洋研究所(AWI)と共同で、同航空機2機を使った「北極対流圏エアロゾル雲放射総合観測(ASTAR 2004)」を実施した。航空機による散乱係数,吸収係数とも汚染の度合いの高かった北極ヘイズの活発な時期であったASTAR 2000の3〜4月の結果に比べいずれも低めの値が示されたほか、黒色炭素粒子が硫酸液滴に取り込まれた内部混合粒子が卓越することが明らかにされた。また、地上では降水に伴うエアロゾルの除去過程が観測され、エアロゾルと雲の相互作用が類推された。2.18年12月から19年1月にかけて、引き続きAWIの航空機による南極域での「日独共同航空機大気観測(ANTSYO-II)」を実施した。大西洋セクターではノイマイヤー基地を中心に内陸のコーネン基地まで、合計22フライトを実施し、インド洋セクターの昭和基地側では大陸上S17拠点をベースに内陸、海洋上水平分布と鉛直分布を取得する観測飛行を合計15フライト実施した。エアロゾルの物理、光学、化学特性の3次元分布を得たと共に、温室効果気体の鉛直分布を得るための大気試料採取も行った。南極大陸沿岸域でも、西経側に位置するノイマイヤー基地周辺では、大気が南極半島側から輸送されることが多く、一方東経側に位置する昭和基地では、南大洋を越え南米大陸からの輸送が多いことが、エアロゾルの性質を特徴づけていること、さらに昭和基地近傍で内陸からの大気の中にも黒色炭素の多いエアロゾルが見られることが明らかになった。そのほか、昭和基地観測、海鷹丸観測と併せ、海洋起源物質の寄与の解明も期待される。
著者
和田 誠 権田 武彦
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.1-8, 1985-09

1979年3月から1980年1月まで南極みずほ基地で雪結晶の顕微鏡観測を行った。種々の形の雪結晶の中に, 骸晶構造を持つ角柱結晶が, 比較的多く降っていることがわかった。この論文では, この結晶の結晶学的諸特性と成長条件を議論する。
著者
中澤 高清 森本 真司 塩原 匡貴 和田 誠 青木 周司 山内 恭 菅原 敏
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

1998年7月、1998年12月〜1999年3月にスバールバル諸島ニーオルスンにおいて、大気中の温室効果気体やエアロゾルなどの実態の把握を目指し、集中観測を行った。これらの観測から、北極域におけるCO_2、CH_4、O_3の変動が詳細に捉えられると同時に、CO_2データは海水表層でのCO_2交換の評価のための基礎データとなった。エアロゾルについては今回の集中観測で多くの基礎データの蓄積がなされ、冬から春にかけての極域におけるエアロゾルの特徴をとらえることができた。北極域における大気微量成分の広域3次元分布、特に極渦の形成・崩壊期に着目した輸送・循環・変質の過程を調べるため、1998年3月6日〜14日の期間、航空機にオゾンおよびCO_2の連続測定装置、大気サンプリング装置、エアロゾル計測装置、エアロゾルサンプリング装置等を搭載し、観測を実施した。観測は北極点を通過し北極海を横断する長距離高高度飛行(巡航高度12km)を基本とし、その他、スピッツベルゲン島近海上空およびアラスカ州バーロー沖合上空では海面付近から高度12kmまでの鉛直プロファイルの観測を行った。機器は概ね順調に動作し、良好なサンプルやデータを取得することができた。その結果、(1)CO_2やO_3濃度は圏界面高度で不連続に変化し、圏界面を挟んで鉛直混合が大きく妨げられる様子が確認された、(2)CH_4とN_2O濃度に見られた正の相関は前年度にスウェーデンで実施された大気球による北極成層圏大気の観測結果と良い一致を示した、(3)硫化カルボニル(COS)の高度分布測定から、COSが成層圏エアロゾルの硫黄供給源であることを示唆する結果が得られた、(4)北極ヘイズ層は多層構造をなし対流圏上部まで到達することがあった、(5)エアロゾルの直接サンプリングにより、成層圏・自由対流圏では主に硫酸粒子、下部混合層では海塩粒子の存在が確認された。
著者
安本 亮二 浅川 正純 福井 淳一 和田 誠次 岸本 武利 前川 正信
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.16-22, 1992-01-20

実験的膀胱癌誘発剤であるN-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine (以下BBN) の0.025%水溶液をラットに経口投与し, 投与5週目からラットinterferon-α (以下IFN-α) を0.1m1 (5×105units/kg/ml) 筋肉内注射し, 以後発癌に至るまでの膀胱の肉眼的変化と病理組織学的変化及びNatural Killer活性 (以下NK活性) の変化を経時的に検討した.1) BBN+IFN-α群の膀胱重量は, 膀胱粘膜に肥厚や血管増生などの肉眼的変化を認めるBBN投与10〜14週の時期 (A期) ではBBN群の膀胱重量と差は見られなかったが, 腫瘍が観察されるBBN投与15〜19週 (B期), 及び20〜30週 (C期) では, 前者重量は後者重量に比べて有意に小さかった.2) A期, C期における発癌率はBBN+IFN-α群の方がBBN群より低かった.3) B期, C期における膀胱癌の悪性度及び浸潤度は, BBN+IFN-α群の方がBBN群に比べて低かった.4) NK活性はA期では両群間に差は見られなかったが, B期ではBBN+IFN-α群の方がBBN群に比べて上昇していた.5) 以上の結果より, IFN-αはBBN誘発ラット膀胱癌の実験系において発癌過程から抗腫瘍的に作用していることが想定された.