著者
草柳 浩子 福地 麻貴子 尾高 大輔 飯村 直子 中林 雅子 西田 志穗 平野 美幸 岩崎 美和 佐藤 朝美 平井 るり 江本 リナ 筒井 真優美
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.44-51, 2005-09-05
被引用文献数
5

本研究の目的は、看護師の語りから、子どもの家族や医療職者を動かし子どものケアに影響を与えた看護師の技を明らかにすることである。エピソード・インタビューの方法を参考に、研究者らが作成した「子どもや家族へ行った看護場面を振り返るインタビューガイド」に基づく半構成的面接を、看護師12名に行った。その結果、5つのテーマが得られた。1.子どもが混乱している場面で、子どもの力を引き出すためのモデルを自ら示し子どものケアへ影響を与える。2.子どもが治療を拒否する場面で、子どもとの関係性を作ることから始め、カンファレンスを企画し子どもの反応の捉え方や関わり方を共有することでスタッフの子どもへのケアに影響を与える。3.気になる家族がいる場面で、「気になること」をスタッフと非公式に確認した後、家族を巻き込む看護を展開し子どものケアに影響を与える。4.通常の慣例では上手くいかないと判断した場面で、自らが考えた関わりを家族やスタッフを巻き込みながらその場で展開し、子どものケアに影響を与える。5.病棟変革を行う場面で、管理者が自分の信念をもとにスタッフ全体を巻き込みながら病棟のシステムを変化させることで、子どものケアに影響を与える。以上から、認知能力が発達途上であったり、自分のことを的確に表現できなかったりという発達の特徴を持つ子どもへの最善の利益を考えた看護が、家族や医療職者を動かしながら行われるためには、看護師の持つ看護観や倫理観とスタッフ間でのコミュニケーションが重要であることが再認識された。
著者
平野 美幸
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.13-21, 2005-12-20 (Released:2012-10-29)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

本研究の目的は, 脳障害のため意識や反応がなく, 人工呼吸器に生命を委ねている子どもに対して, 看護師がどのように子どもを理解し関わっているのかを明らかにすることである. Leininger の民族看護学の研究方法に基づき, 7名の主要情報提供者と14名の一般情報提供者に対する参加観察と面接を行った. 分析の結果, 5つのテーマと1つの大テーマ「看護師は, アラームやわずかな変化を'子どもの声'として意味づけをしていくことで, 生かされているのではなく生きている子どもとして, その子らしさを見出していく」が抽出された. アラームやわずかな変化から読み取ることと, それらに感情や意思を結びつけていくことにより, 子どもの個性を創り上げていることが明らかになった. このことから, 子どものわずかな変化と感情や意思とを結びつけて捉えた内容を共有し深めていく方法の工夫や, プロセスを言語化していく必要性が示唆された.