著者
山田 洋子 岡本 祐子 斎藤 清二 筒井 真優美 戸田 有一 伊藤 哲司 戈木クレイグヒル 滋子 杉浦 淳吉 河原 紀子 藤野 友紀 松嶋 秀明 川島 大輔 家島 明彦 矢守 克也 北 啓一朗 江本 リナ 山田 千積 安田 裕子 三戸 由恵
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

質的研究とナラティヴ(語り・物語)アプローチによって、ウィーン、ロンドン、ハノイ、シカゴ、海外4都市の大学において、多文化横断ナラティヴ・フィールドワークを行った。心理学、医学、看護学による国際的・学際的コラボレーション・プロジェクトを組織し、多文化横断ナラティヴ理論および多声教育法と臨床支援法を開発した。成果をウェッブサイトHPで公開するとともに、著書『多文化横断ナラティヴ:臨床支援と多声教育』(やまだようこ編、280頁、編集工房レィヴン)を刊行した。
著者
草柳 浩子 福地 麻貴子 尾高 大輔 飯村 直子 中林 雅子 西田 志穗 平野 美幸 岩崎 美和 佐藤 朝美 平井 るり 江本 リナ 筒井 真優美
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.44-51, 2005-09-05
被引用文献数
5

本研究の目的は、看護師の語りから、子どもの家族や医療職者を動かし子どものケアに影響を与えた看護師の技を明らかにすることである。エピソード・インタビューの方法を参考に、研究者らが作成した「子どもや家族へ行った看護場面を振り返るインタビューガイド」に基づく半構成的面接を、看護師12名に行った。その結果、5つのテーマが得られた。1.子どもが混乱している場面で、子どもの力を引き出すためのモデルを自ら示し子どものケアへ影響を与える。2.子どもが治療を拒否する場面で、子どもとの関係性を作ることから始め、カンファレンスを企画し子どもの反応の捉え方や関わり方を共有することでスタッフの子どもへのケアに影響を与える。3.気になる家族がいる場面で、「気になること」をスタッフと非公式に確認した後、家族を巻き込む看護を展開し子どものケアに影響を与える。4.通常の慣例では上手くいかないと判断した場面で、自らが考えた関わりを家族やスタッフを巻き込みながらその場で展開し、子どものケアに影響を与える。5.病棟変革を行う場面で、管理者が自分の信念をもとにスタッフ全体を巻き込みながら病棟のシステムを変化させることで、子どものケアに影響を与える。以上から、認知能力が発達途上であったり、自分のことを的確に表現できなかったりという発達の特徴を持つ子どもへの最善の利益を考えた看護が、家族や医療職者を動かしながら行われるためには、看護師の持つ看護観や倫理観とスタッフ間でのコミュニケーションが重要であることが再認識された。
著者
筒井 真優美
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.585-594, 1993-12-15

I.はじめに ニューヨーク大学は総合大学であり,マンハッタンの南,多くの芸術家が住むグリニッチ・ヴィレッジやソーホの近くに位置する。大学の南には中華街やリトル・イタリーがあり,さまざまな人種が住んでいる。 ニューヨーク大学看護学部の名誉教授はマーサ・ロジャーズ(M.Rogers)で,1975年までの看護学部長であった。ニューヨーク大学は教育の根底にロジャーズの看護科学(Nursing Science)がある。ロンヤーズは,看護はunitary humanbeing(人間)とその環境についての科学であると述べており,人間に関する概念を中心に看護を説明している。ロシャーズの看護学に関する概念は他の看護理論よりも抽象度が高く,操作的定義が困難であると述べられているが,これはロジャーズが看護理論ではなく看護学(看護科学)について述べているからである。
著者
勝田 仁美 片田 範子 蝦名 美智子 二宮 啓子 半田 浩美 鈴木 敦子 楢木野 裕美 鎌田 佳奈美 筒井 真優美 飯村 直子 込山 洋美 村田 恵子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.12-25, 2001-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
14 1

子どもが検査・処置をどのように体験しているのかを明らかにすることを目的として参加観察を行い, 子どもが処置を体験するプロセスの中で「覚悟」という現象と, 覚悟に至る要因が抽出された. 処置を受ける子どもと親, および処置を担当した看護者・医師の4者18組を対象とし, おもにgrounded theory approachを用いて, 処置場面の参加観察, および処置に対する思い・説明内容等について半構成的インタビューを実施し分析を行った. その結果, 以下のことが明らかとなった.<BR>子どもの"覚悟"という現象は,「処置を受けるにあたり, 情緒的・認知的・精神運動的側面のバランスをとり, 処置を主体的に受容している状態」であった. そして, 覚悟に影響を与える要因として【まわりのゆとり】【過去の経験のイメージ】【子どもが選択できる可能性】【まわりとの一体化】【処置に対する代償利益の確認】【自らする覚悟の宣言】が挙げられた.<BR>覚悟に影響する6つの要因はどれもが子どもの自我機能強化につながっており, その強化の仕方によって, (1) 子ども自身がもともと持っている認知・情動との調整をはかって行動化する力 (自我機能) が十分に発揮されるあり方, (2) 子どもが認知と情動との調整をはかる主体であるということをまわりも認めることで, 子どもが自己コントロール感を取り戻し, 自ら行動化しやすくなるあり方, (3) 子どもの中で拭いきれない強い情動のゆれ (自我機能を弱めさせる外界からの力) にタイミングよくふんぎりをつけさせて行動化できるあり方, の3つに大別され構造化されていた.
著者
蛯名 美智子 村田 恵子 鈴木 敦子 片田 範子 中野 綾美 筒井 真優美
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

病院での検査・処置を受ける子どもが実際、どのように説明を受けているのかについて調査した。方法は参加観察及び、その後に子どもの親・医師・看護婦へのインタビューであった。研究対象は2〜13歳の18名の子どもとその親、それに関わる医師と看護婦であった。観察とインタビューから得られたデータは逐語的に整理され、研究者のグループによって分析された。その結果、以下のような4つの結果を得た。1.子どもが検査や処置について知らされた後から検査や処置中にわたって、自分で心理的に準備をしている。私たちはこの現象を子どもの心理的準備/決心、すなわち覚悟と名付けた。子どもが覚悟をして検査・処置に向かうためには、心地よい雰囲気、過去の検査イメージ、検査・処置の間に子どもに選択肢を与えた決定する機会、状況を人々と共に共有する間隔、検査・処置を受けることによって可能になる利益の保証、そして子ども自身による覚悟の宣言が必要であった。2.子どもの能力と医療者が認識する子どもの能力との間で、以下の3つの現象が観察された。それらは子どもの能力と子どもの能力に対する医療者の判断との間のずれ、検査・処置に対する子どもの反応と医療者の対応との間のずれ、そして子どもと医療者の双方の状況の理解に関するずれであった。3.子どもの検査・処置に参加する医師、看護婦、親の間で3つの役割がとられていた。1つは、検査・処置の子どもの反応をチェックすること、2番目の役割は検査・処置について子どもに説明すること、3番目の役割は子どもの覚悟を引き出し、それを維持させることであった。4.検査・処置の後の子どもの思いは、3つのタイプに分類された。3つのタイプとは、「私は頑張った」という思い、「私は頑張ろうとしたんだけど・・」という思い、「私はずっと頑張っているのに」という思い出あった。今後の研究課題は、コレラの結果からケアモデルを構築すること、精製されたケアモデルの効果を検証することである。
著者
片田 範子 舟島 なをみ 鈴木 千衣 筒井 真優美 及川 郁子 常葉 恵子 平林 優子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

本研究は、現在の小児看護の実態を把握し、入院する小児に必要な看護ケアシステムを将来に向けて考察する目的で3年間に渡り行われた。1.混合病棟でケアされている小児の実態と質問紙の作成(平成2年度)東京近郊の病院の混合病棟での小児看護を質的に参加観察法や聞き取り調査を用いて検討し、その結果を踏まえて質問紙の作成を行った。2.小児の入院状況と看護婦の援助の必要性の質問紙調査(平成3年度)質問紙調査は、全国300床以上の総合病院から回答を得られた434病院で、小児専門病棟および成人との混合病棟の双方に入院している子どもを持つ親、看護婦(病棟婦長、看護部長を含む)、混合病棟の成人患者を対象に行われた。平成3年度に調査を実施し、平成4年にかけて分析を行った。分析結果は多岐に渡って得られ、平成4年には学会発表を行った。母親と看護婦の期待することのずれや、付き添っている者の疲労などの問題が存在し、これからの看護に望まれることが浮き彫りになった。また、小児をケアする看護婦の多くが、親との関りかた、成長発達に沿った援助、精神的支援などの領域で相談する人が欲しいと思っていた。3.小児リエゾンの導入と評価(平成4年度)「個々の小児の成長発達に合った看護の実践上の問題を中心に、小児を看護する看護婦に小児リエゾン的かかわりを持ちその評価を行う」ことを今回の導入の目的とし、平成4年には協力の得られた4病院で小児を看護している看護婦32名を対象にリエゾン・コンサルテーションを行った。来談の理由の主なものは「患児の生活や精神面の看護」、「小児看護をする自分について」、「家族の看護」についてと、事前調査と同様の結果であった。継続的にリエゾンシステムを活用し、看護婦が自分達の行っていることを定期的に見直し、解決の糸口を日常とは異なった面から検討する機会をもつことの意義が示された。