著者
長谷部 雄飛 福田 浩二 中野 誠 近藤 正輝 佐竹 洋之 平野 道基 下川 宏明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SUPPL.3, pp.S3_36-S3_42, 2014 (Released:2015-10-26)
参考文献数
7

症例1は, 15歳女性. 小学生の時にWPW症候群を指摘. 運動中に出現した心拍数300/分台の偽性心室頻拍で当科紹介. C型顕性WPW症候群, デルタ波はⅡ誘導で陰性であり, 心外膜側Kent束と予測された. 順伝導ERPは220msec, 心室早期刺激にて容易に房室回帰性頻拍が誘発された. 冠状静脈洞 (CS) 内の順伝導最早期部位における心室側への通電で離断に成功した.  症例2は, 22歳男性. 小学生の時にWPW症候群を指摘. 強い精神的ストレス下で, 心拍数280/分台の偽性心室頻拍を発症. ピルジカイニド内服後もデルタ波残存し, Ⅰ, Ⅱで陽性, V1, aVFで (±) であり, 後中隔Kent束と予測された. Kent束の順伝導ERPは240msec未満. CS入口部前面に順伝導最早期を認め, 入口部から内部に入った逆伝導最早期部位への通電と, さらに奥での追加通電にて離断に成功した. CS内通電を要した後中隔Kent束で, 心房細動合併時に速い心室応答を示したハイリスク偽性心室頻拍の若年2症例経験したので文献的考察を加えて報告する.