著者
磯村 正 久冨 光一 西見 優 平野 顕夫 川良 武美 諌本 義雄 大野 兼市 林田 信彦 松添 慎一 小須賀 健一 大石 喜六
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.717-719, 1992-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7

最近1年間に施行された冠動脈バイパス術のうち、術前自己採血が不可能であった24例を対象とし、術中セルセーバーのみ使用したもの(C群n=9)、ヘモコンセントレーターのみ用いたもの(H群n=6)、および、両者の併用例(M群n=9)に分類し、術後出血、同種血輸血量の検討を行った。各群間の年齢、体外循環時間(ECC)には有意差は認めなかった。自己血回収量はC群620±176ml;H群530±148ml;M群779±287mlであり、M群が他の2群に比べ有意に増加していた。術後12時間の胸腔ドレーン出血量をみると、C群720±363ml、H群372±159ml、M群413±167mlと、C群で有意に出血量の増加を認めた。今回検討した開心術に際しての自己血回収法の中では、ECC前後の出血はセルセーバーで、人工心肺残留血はヘモコンセントレーターで濃縮返血した群で、自己血回収量が最も多く、セルセーバー単独使用群に比べ、術後の出血量は有意に少ないため、最も有用な方法であると考えられた。