著者
広瀬 洋子
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.89-102, 2011

ICT活用は世界の大学のあり方を大きく変えようとしている。放送大学においても、従来の放送授業から、インターネットによるオンデマンド型配信授業で学習する学生が増加しており、印刷教材のデジタル化も検討課題になりつつある。 日本でこうしたICTによる学習の変革を一番切実に必要とし、ここ20年、パソコンを最も先鋭的に活用し学習に役立ててきたのは視覚障がい学生である。2011年現在、放送大学に学ぶ視覚障がい者は142名。全国の高等教育機関に学ぶ視覚障がい者の20%を占めている。 放送大学では第一期卒業生の杉山和子氏がボランティア組織「菜の花の会」を立ち上げ、視覚障がい者が抱えていた印刷教材を読むことの困難さに支援がなされた。放送大学がこの地道な活動を継承し、ICTを活用した活動として発展させるために、「菜の花の会」のこれまでの活動を振り返り、記録しておきたい。