著者
鈴木 聡 山本 冬馬 小山 夏晴海 広谷 浩子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館(旧神奈川県立博物館)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.49, pp.101-105, 2020 (Released:2020-03-31)
被引用文献数
2

神奈川県周辺におけるタヌキ Nyctereutes procyonoides の体サイズの変異に疥癬が与える影響を調査した。体重には季節変異があり、冬は大きく、夏は小さい傾向が見られた。しかし、この傾向は疥癬症に罹患した個体には見られなかった。夏季には、疥癬非罹患個体の中にも罹患個体より体重の小さい個体が見られたことから、疥癬による削痩が直接的な死因になることは少ないと考えられる。一方で、冬季には疥癬罹患個体と非罹患個体の体重に差が見られた。このことから、罹患個体が冬の寒さに耐えられるだけの十分な脂肪を蓄積できていないことが、罹患個体の直接の死因と推測される。サイズを示す計測項目間の相関検定においては、全ての組み合わせで有意な相関がみられたが、いずれも相関性は弱かった。このような相関のパターンは、疥癬によってもたらされる形態的変化には影響されないと考えられた。サイズを示す計測項目間で相関が小さいことは、タヌキの形態的特徴の一つであると考えられる。
著者
大島 光春 広谷 浩子 田口 公則 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

科学館や子どものための博物館では、対象を子どもに絞り、体験・体感できるような展示を行っている。一方、自然史博物館では、恐竜・鉱物・昆虫などを静置し、大きい・美しい・珍しいなどの感動から、自然への興味関心を引き出している。このような展示は来館者にある程度の知識や経験を要求することが多い。しかし、子どもを対象にした場合、自然史への興味の導入には、科学館などのような動く展示が重要な役割を果たしていると考え、自然史博物館にふさわしい動的展示を開発し、それをさらに有効に活用できるプログラムを試行した。