著者
庄 莉莉 村上 かおり 鈴木 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.42, 2017 (Released:2017-07-08)

【目的】現在,ブラジャーは女性の生活必需品となっており,その装着が適切であるかどうかは女性の心身に大きな影響を与えているため,ブラジャーを着け始める思春期から,正しい知識をもってブラジャーを装着することが求められる。本研究では思春期の女子のブラジャー装着の現状や課題,またその第二次性徴に関わる下着教育の必要性や課題を明らかにすることを目的とした。  【方法】ワコール及びグンゼなどの調査資料に基づき,思春期の女子のブラジャー装着の現状や課題を追究した。また,歴史,教育,被服衛生などに関する先行研究を整理し,日本におけるブラジャーの普及や変遷の歴史的背景を踏まえ,家庭,学校や下着メーカーでの下着教育の現状や課題を分析した。 【結果】バストの発達やブラジャーの装着に悩みを抱え,その正しい知識を持たないままブラジャーを着け始める思春期の女子が多いため,早い時期にバスト発達に関する知識とブラジャー装着の指導が求められることが明らかになった。一方,下着教育の重要な場である家庭では,その教育が機能せず,学校教育でもほとんど行われていない。下着メーカーは思春期向けのブラジャーの開発や下着教育を積極的に行っているが,いずれも大都市圏だけに限定されている。また,学校での下着教育については約20年前のデーターしか見られない。以上から,思春期の女子及びその親の下着教育に関する認識の実態を明らかにする必要性が認められた。
著者
庄 莉莉 村上 かおり 鈴木 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.231-239, 2020 (Released:2020-04-23)
参考文献数
12

現在, ブラジャーは女性の生活必需品となっており, 第二次性徴期から乳房の発達やブラジャー装着についての知識をもってブラジャーを正しく装着することが求められる. 多くの研究によって第二次性徴期における女子の下着装着の課題と下着教育の必要性が明らかにされているが, 下着教育に重要な役割を担っている母親は娘にどのような影響を及ぼしているのかは明らかになっていない. 本研究では, 質問紙調査によって母親とその娘である女子高校生のブラジャー装着に関する意識や行動の実態を明らかにし, 母娘間の関係性を分析することによって, 今後の下着教育の在り方に, 示唆を得ることを目的とした. 結果として, 母娘とも体の変化やブラジャー装着に関する意識は高いとは言えず, 装着に関する実態も望ましくないことが明らかになった. ブラジャー装着に関する知識・理解および関心・意欲の観点には, 母親と娘との関係性は見られなかった一方, 母親の実態や行動は娘に影響をもたらしていることが検証された. また, 娘は下着教育の場は家庭であるという認識が強いことが示されたが, 母親は自分の知識に自信をもっておらず, 下着装着について学校教育に期待している実態が見られた. 娘だけではなく, 母親を対象とした下着教育が必要であり, また, 母娘が交流できる場も求められると考える.