著者
後藤 多可志 宇野 彰 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子 庄司 信行
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.322-331, 2007-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

英語圏では発達性読み書き障害の障害構造の一仮説に, 視覚情報処理における大細胞システムの障害仮説が提唱されている.本研究では, 日本語話者の発達性読み書き障害児の大細胞システムの機能をFrequency Doubling TechnologyとVision Contrast Test Systemを用いて検討した.対象は日本語話者の発達性読み書き障害児5名である.読み書きに関する学習到達度検査, 認知機能検査, 大細胞システムの機能測定および眼球運動の観察を実施した.その結果, 全例視力の問題はなかったが, 動的刺激と静的刺激のコントラスト閾値は健常群に比して低下し, 3例には眼球運動の異常が見られた.以上より, 日本語話者の発達性読み書き障害児にも海外での報告と同様に大細胞システムの障害が認められるのではないかと思われた.大細胞システムの障害は視覚情報処理過程や文字の読み書きに影響を及ぼす可能性が考えられた.
著者
庄司 信行 新家 真 奴田原 紀久雄 東原 英二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.647-651, 1990-05-15

炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)を1年以上投与されている緑内障患者32例に著明な代謝性アシドーシスとそれに対する呼吸性代償,骨塩の融解および尿での骨塩の漏出とカルシウム溶解性の低下が認められた。 このうち22例にクエン酸製剤ウラリット-U®を投与したところ,眼圧の変化はなく,骨塩漏出の低下と代謝性アシドーシスが改善した。 以上の結果からCAI長期使用例,とくに骨系統の疾患や慢性肺疾患の合併頻度の高い老人では,定期的な血中重炭酸とカルシウムイオンのチェックが必要である。ウラリット-U®はCAIの併用薬として有望である。