著者
松岡 由幸 庭野 敦也 森田 敦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.65-72, 2001-01-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
14
被引用文献数
3

座り心地の向上を目的として, 尻滑り力を防止するシートスウィング機構が注目されている.しかしながら, この尻滑り力防止に関する力学的解明がなされていないため, シートスウィング機構は的確な設計が行われておらず, その機能が十分に発揮されていない.そこで, 本研究では, 人体モデルを用いて力学シミュレーションを行い, 導出した設計解をもとにシートスウィング機構の設計を行うことを目的とする.本研究では, まず, 人間工学的, 解剖学的な見地から人体モデルを構築した.つぎに, そのモデルを用いて尻滑り力の推定式を立て, 尻滑り力の力学シミュレーションを実行することで最適なバックアングルとクッションアングルの関係を導出した.その結果, バックアングルが45°付近でクッションアングルが最大値をとる尻滑り防止曲線を導出した.さらに, 導出した尻滑り防止曲線をもとに, シートスウィング機構に対する各構成要素の仕様を決定し, 同機構の設計を行った.