著者
高野 修治 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.123, 2013 (Released:2013-06-20)

本研究では,新しい人工物の創出手法として提案されている多空間デザイン法(Mメソッド)を用いて,プロのデザイナにビークルデザインをテーマとした事例適用を行った.Mメソッドは,デザインに用いる要素を整理する枠組みである多空間デザインモデルの視点に基づき,発想法と分析法を組み合わせるデザイン法である.この事例適用の結果を通じてMメソッドの有用性が確認された.
著者
松岡 由幸 谷郷 元昭 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.57-66, 1997
参考文献数
8

近年, 製品に対するニーズが多様化する傾向にあり, 製品開発においてユーザーの嗜好性の違いを考慮した設計方法の構築が望まれている。そこで, 嗜好性の違いを考慮する方法として, ロバスト設計の方法に注目した。ロバスト設計とは, 製品における機能のばらつきに対処する方法である。本研究では, この方法を基に, 機能のばらつきを人の嗜好性の違いに置き換えることで, 嗜好性の違いを考慮する設計方法の構築を図った。具体的には, 自動車用シートのギャザーパターンをケーススタディーとして, シート設計におけるいせ込み量と引張力を制御因子, ギャザーパターンの外観に対する嗜好性の違いを誤差因子とし, ロバスト設計の手順に従うことで設計方法の構築を試みた。また, 従来の設計方法と比較することにより, 本方法の有効性を検討した。その結果, 今回の方法が製品設計において嗜好性の違いを考慮する上で有効であることを示した。
著者
松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.1, 2008 (Released:2008-06-16)

従来,デザイン学研究は対象に依存したデザイン方法や技術の研究が主流であり,デザイン対象に依存しない一般性を有するデザイン理論や方法論に関する研究は少ない.吉川らの一般設計学はその基盤をなすものであるが,デザイン科学の枠組み構築のためには,これにつづくさらなる研究が不可欠となる.本報では,今後のデザイン科学の枠組み構築の一助とすべく,デザイン理論の枠組みとしての多空間デザインモデルの概要を提示する.そして,同モデルのデザイン科学の枠組みにおける位置づけを示すとともに,同モデルに基づくデザイン推論の枠組みの構造を明示する.
著者
佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2008 (Released:2008-06-16)

デザイン過程を,概念デザインや基本デザインが含まれるデザイン上流過程と,詳細デザインなどを含むデザイン下流過程の2つに大別すると,それらは以下の異なる特徴を有している.まず,上流過程においては不明確なデザイン目標や制約条件のもと,デザイナーの経験に基づく知識や直観を用いて,試行錯誤的に広い解空間から多様なデザイン解の探索が行われる.そして,下流過程においては明確化されたデザイン目標や制約条件のもと,合目的に狭い解空間から唯一のデザイン解の探索が行われる.この下流過程は,デザイナーの直観に依存する部分はあるものの,最適化法やCADなどの活用によりデザイン行為に合理化がもたらされている.一方,上流過程は,いまだその多くをデザイナーの直観に依存しており,大域的な解探索を可能とする数理手法や,それを前提とした逆問題の解法を可能とする設計研究の進展が必要とされている.本報では,このようなデザイン上流過程およびデザイン下流過程に適用可能な人工物デザインである「創発デザイン」と「最適デザイン」の概念を示し,それぞれの適用条件や適用可能なデザイン問題について示した.
著者
松岡 由幸 庭野 敦也 森田 敦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.65-72, 2001-01-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
14
被引用文献数
3

座り心地の向上を目的として, 尻滑り力を防止するシートスウィング機構が注目されている.しかしながら, この尻滑り力防止に関する力学的解明がなされていないため, シートスウィング機構は的確な設計が行われておらず, その機能が十分に発揮されていない.そこで, 本研究では, 人体モデルを用いて力学シミュレーションを行い, 導出した設計解をもとにシートスウィング機構の設計を行うことを目的とする.本研究では, まず, 人間工学的, 解剖学的な見地から人体モデルを構築した.つぎに, そのモデルを用いて尻滑り力の推定式を立て, 尻滑り力の力学シミュレーションを実行することで最適なバックアングルとクッションアングルの関係を導出した.その結果, バックアングルが45°付近でクッションアングルが最大値をとる尻滑り防止曲線を導出した.さらに, 導出した尻滑り防止曲線をもとに, シートスウィング機構に対する各構成要素の仕様を決定し, 同機構の設計を行った.
著者
松岡 由幸 谷郷 元昭 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.57-66, 1997-11-30 (Released:2017-07-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年, 製品に対するニーズが多様化する傾向にあり, 製品開発においてユーザーの嗜好性の違いを考慮した設計方法の構築が望まれている。そこで, 嗜好性の違いを考慮する方法として, ロバスト設計の方法に注目した。ロバスト設計とは, 製品における機能のばらつきに対処する方法である。本研究では, この方法を基に, 機能のばらつきを人の嗜好性の違いに置き換えることで, 嗜好性の違いを考慮する設計方法の構築を図った。具体的には, 自動車用シートのギャザーパターンをケーススタディーとして, シート設計におけるいせ込み量と引張力を制御因子, ギャザーパターンの外観に対する嗜好性の違いを誤差因子とし, ロバスト設計の手順に従うことで設計方法の構築を試みた。また, 従来の設計方法と比較することにより, 本方法の有効性を検討した。その結果, 今回の方法が製品設計において嗜好性の違いを考慮する上で有効であることを示した。
著者
松岡 由幸
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.9-16, 2012 (Released:2016-02-22)
参考文献数
20

This paper describes about the timeaxis design which is a new paradigm of design introducing a concept of time axis into design theory and methodology. Moreover, its social meaning along with its position in science are outlined, and a value growth design, and an unsteady and nonequilibrium system design, which are application of the timeaxis design, are described. As a means for realizing of these designs, a bio-inspired technology and service technology are described. Additionally, timeaxis models, which consist of an unsteady model, a plastic model, and a multi-time scale model, and a gray-box model as an integrated model for decision-making used for a timeaxis design are introduced. Finally, a new possibility by using the timeaxis design is indicated.
著者
伊豆 裕一 佐藤 浩一郎 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

プロダクトデザインにおいて,スケッチには,新たなデザイン解の導出を促す効果のあることが多く指摘されている.しかしながら,従来の研究では,それらの効果に対する透視図法や展開技法などのスケッチスキルの影響については明らかにされていない.筆者らは,プロダクトデザインにおけるスケッチスキルの効果の解明を目的に,スケッチ教育におけるスケッチスキルの習得度の差異を分析することで,各スケッチスキルの関係性を表すスケッチスキルの構造モデルを提示した.本稿では,本モデルを用いて,デザインにおいてイメージの創出を狙いとしたラフスケッチと,形状,構造,および仕様の導出を狙いとしたアイディアスケッチの両スケッチに影響するスケッチスキルを分析した.その結果,ラフスケッチにおいて形状の特徴表現,アイディアスケッチにおいて形状の正確・的確な表現に関わるスケッチスキルが,それぞれに強く影響することを明らかにした.<br>
著者
井関 大介 余部 昇太 山野 薫平 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.200-201, 2018 (Released:2018-06-21)

人工物の大規模・複雑化や,それを使用するユーザや環境の多様化にともない,人工物をデザインするために必要とされる要素は増加の一途を辿っている.それら大量のデザイン要素を用い,的確なデザイン解を得るためには,様々なデザイン環境下において適用可能な包括的視点を持ち,かつデザイン要素を適切に整理しながらデザイン展開を進めていく必要がある.それを実現するデザイン方法の1つとして,多空間デザインモデルに基づくMメソッドが提案されている.Mメソッドは,身近にある紙媒体を用い,手軽に行うことが可能なデザイン法である.一方,既存の発想法やデザイン法を,デジタル化する研究が多数行われている.発想・デザイン活動をコンピュータ上で行うことにより,紙媒体で扱うには困難なほどの大量のデザイン要素を,瞬時に整理し,的確なデザイン展開を進めていくことが可能になると考えられる.そこで本研究では,発想法やデザイン法を,コンピュータを用いてデジタル化した既報の研究論文を調査・分析することにより,Mメソッドに有効である機能を抽出し,それら機能を実装したコンピュータ上で動作するMメソッドシステムの開発を行うことを目的とする.
著者
伊豆 裕一 佐藤 浩一郎 加藤 健郎 氏家 良樹 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.4_61-4_70, 2012 (Released:2013-01-17)
参考文献数
14

デザイン発想におけるスケッチの活用には,多くの効果が確認されている.しかしながら,従来の研究では,それらの効果に対して,透視図法や陰影表現などのスケッチスキルがどのように影響するかは明らかにされていない.本稿では,プロダクトデザインにおけるデザイン発想に対するスケッチスキルの効果や役割の解明を目的に,スケッチスキルを構成する要因とその関係性を明確化した.具体的には,スケッチ教育におけるスケッチスキルの習得プロセスの観察を行い,同教育の受講生が描いたスケッチの評価を行った.その評価結果を,ISM,数量化III類,およびクラスター分析を用いて分析することで,スケッチスキルを構成する要因間の関係を明らかにし,スケッチスキルの構造モデルを提案した.これにより,スケッチスキルの合目的な活用・習得方法の解明が可能となり,スケッチスキルの効果や役割の明確化の一助とした.
著者
高野 修治 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.34, 2011 (Released:2011-06-15)

サステナブルな社会の実現や新たな価値の創生に向けて,21世紀のデザインには,多様な場や価値観の時間軸変動への対応が望まれている.しかし,従来のデザインは,時間軸変動を考慮する方法論を有さないことから,結果として,多くの人工物が使用時間の経過に伴い価値を衰退させるに至っている.この現状を打破する方策として,場や価値観の多様性およびそれらの時間軸変動に対応する新たなデザインのパラダイムとして,タイムアクシス・デザインが提唱されている.本研究は,タイムアクシス・デザインを具現化する価値成長デザイン方法論の構築を目的とし, 本報では,包括的な視点からデザインを捉えることができる多空間デザインモデルに基づいた価値成長デザインのためのタイムアクシス・デザインモデルを提案する.
著者
伊豆 裕一 加藤 健郎 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.2_55-2_64, 2017-09-30 (Released:2017-12-22)
参考文献数
19

多くのデザイナーはデザイン案の発想にスケッチを活用する.一方,デザインの造形教育において,対象物を観察し表現するデッサンが重視される.両者の目的は異なるものの,透視図法や陰影法など,使用される表現スキルには共通点も見られる. 本研究は,デッサンとスケッチの描画スキルと描画過程を比較することにより,両者の関係について知見を得ることを目的とした.まず,10 名の対象者のデッサンとスケッチを描画スキルにより評価し分類した結果,対象者はデッサンスキル高,スケッチスキル高,およびその他の3つのグループに分けられた.つぎに,各グループのデッサンとスケッチの描画過程を分析し比較した結果,線や陰影と言った要素の描写時間や描画手順にグループによる違いが確認された.以上について分析した結果,デッサンとスケッチの描画には,表現スキルに加えて立体形状の認識方法の違いが影響することが示唆された.
著者
川西 翔樹 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.38-38, 2011

デザイン対象の機能は,デザイン対象とその周辺環境である場の関係に依存するといわれている.デザインという創造的行為における法則性の解明と,デザイン行為に関する知識の体系化を目指すデザイン科学を構築するためには,デザインにおける場について,デザイン場としての学術的な概念を確立する必要がある.場の概念は,デザインだけではなく様々な学術領域で用いられている.デザイン場構築の際に,これらの場の概念が参考になると考えられる.本研究では,デザイン場の構築を目指し,デザイン行為を包括的に論じることができる多空間デザインモデルを用いて,他の学問領域(物理学,生物学,ゲシュタルト心理学,社会心理学,生命関係学,組織論)における場の概念について,学問領域間の比較を行った.その結果,4つの場の類型を得た.
著者
平尾 章成 有田 実花子 金 侖慧 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.853, pp.17-00090-17-00090, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
16

Person has spent most of the day in a sitting posture. In recent years, there has been a growing attention to the "seating comfort" researches. However, research topics are complicated and vary widely, it is difficult for a designer to use accurately design knowledge during the development of chairs. Therefore, in this study, "seating comfort" researches based on the literatures were systematically analyzed by the elements extracted and classified into spaces of element inter-relationship diagram using Multispace design model. Extracted elements were classified and discussed about change based on timeaxis. And, also the literatures categorized using cluster analysis of the extracted elements. From consideration based on the analysis results, researches about the human mechanism of seating comfort and long-term sitting analysis including the postural change have been proposed as non-research areas for future knowledge expansion.
著者
中塚 慧 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.19, 2008 (Released:2008-06-16)

近年,ニーズの多様化や市場のグローバル化に伴い,人工物を取り巻く場は多様化している.ここで場とは,製品を取り巻くヒト,モノ,環境に含まれる全ての要素および要素間の関係である.例えば,椅子の例では,従来考慮されてきた平均的な体格や着座姿勢だけではなく,体格,着座姿勢,および使用目的の多様性を考慮する必要がある.このため,多様な場に対応可能な製品を開発する方策が求められている.一方,上記の問題を解決する方策としてロバストデザインが注目されている.ロバストとは,「頑強な」または「頑丈な」という意味であり,ロバストデザインとは,場の変化による製品の様々な変動に対して,機能の安定性(頑強性)が確保された製品を作ることを目的としたデザインである.本研究では,ロバストの意味,ロバストデザインの概念,およびロバストデザイン法を紹介することにより,本デザインにおける概念を説明した.
著者
氏家 良樹 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.9-16, 2008-05-31

曲線デザインにおいては,形状全体の特徴を巨視的に認知するヒトの特性から,形状要素の組合せによって発現するマクロ形状情報の適切な把握と操作が重要である.しかし,CADを用いた現行の曲線デザインにおいては,微視的な形状特徴を定量的に表現する情報の提示が主流であり,マクロ形状情報の把握と操作はデザイナの経験や直観に依存している.このような背景より,筆者らは,マクロ形状情報「複雑さ」を対象として,マクロ形状情報の定量化法構築とマクロ形状情報を操作可能な曲線形状生成法の構築に関する研究を進めてきた.本報では,解像度を考慮したマクロ形状情報「複雑さ」の定量化法として提案した曲率積分および平滑化手法の定義,事例適用による有用性の検証,および同定量化法を導入した曲線形状生成法のデザインへの応用について述べる。そして,提案した手法による解像度を考慮した「複雑さ」の定量化の可能性と,曲線形状生成法による曲線デザイン支援の可能性について示す.
著者
池町 優太 氏家 良樹 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.53, pp.264-265, 2006-06-20

In curve design, the construction of a quantitative representation method of macroscopic shape feature is important. The main reason for this appears to be that human beings tend to perceive the overall shape feature macroscopically. So, in the past study, curvature integration was proposed as the quantitative representation method of macroscopic shape feature "complexity" which is important in curve design. This paper describes that curvature integration can represent macroscopic shape feature "complexity", the application of curvature integration to the design problem of analysis of automobile side views and the application of the shape generation method proposed in the past study to the styling of new vehicle.