著者
内ノ倉 真吾 廣 直哉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.41-46, 2017-12-02 (Released:2018-07-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

科学の内容的・手続き的な知識,メタ科学的な知識に着目して,アメリカの科学スダンダ ード・カリキュラム・教科書における問いの設定の学習内容の構成を調査した。科学スタンダードでは,第一に,小学校から高校段階にかけて,問いの設定に関する手続き的・メタ科学的な知識の習得が図られるように構成されていた。第二に,問いの設定に関する学習内容としての手続き的・メタ科学的な知識は,問いの種類,問いの条件,議論に係わる問いの3 つに分類しうるものとなっていた。 一方,教科書や補助教材では,第一に,科学的な問いの重要性や具体的な事例が中心的な内容であった。第二に,科学的な問いの定義が提示されている場合,観察や情報の収集で答えられるのが科学的な問いとされ,科学的には答えられない問いの性質や具体例も併せて提示されていた。第三に,特定の事物・事象に即して問いを立てるという学習場面の設定は,ほとんど見られず,実際の授業での指導に委ねられていると推察されるのであった。
著者
廣 直哉 内ノ倉 真吾
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.49-52, 2017-11-18 (Released:2018-07-01)
参考文献数
14

中学校と大学生への質問紙調査を基にして,与えられた事物・事象の探究可能性の判断と生成する問いの特性を探った。第一に、大学生は,一部の問題を除いて,適切に探究可能性を判断できていたのに対して,中学生は,倫理的な判断や個人的な好みに係わる問題が科学的に探究可能な問題ではないと判断できていたものの,それ以外の事物・事象について適切に判断できていなかった。第二に,中学生と大学生ともに,探究可能であると判断できた場合は,適切な問いの生成もできている傾向が見られた。しかしながら,大学生が生成する問いには,事物・事象の原因や理由を問う疑問や,対照実験を意図した疑問が見られるのに対して,中学生が生成する問いには,与えられた事物・現象をそのまま利用した疑問が多く,問いの生成に違いが見られた。