著者
内ノ倉 真吾
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.75-80, 2007-06-23 (Released:2017-11-17)
参考文献数
11

生徒は,メタファーの対応関係を理解できたとしても,メタファー的な説明の様式から因果的な説明の様式へと容易に移行できるのではなく,水の融解における温度変化を因果的に説明できなかった.このとき,生徒は,メタファー的な説明と因果的な説明が異なる説明様式であることに少なくとも気付くのだが,この二つの様式を移行する具体的なストラテジーをもたず,メタファーにより実感をもって理解できたものの,これを活かして自分の考えを変えることはできなかった.メタファー的な説明と科学的・因果的な説明の様式の相補的な関係,二つの様式がそれぞれ真実性と真理性を追求しているという差異を認められないとき,生徒は,性質の異なる二つの様式により状態変化が説明されることに葛藤を経験する場合もあった.
著者
内ノ倉 真吾 廣 直哉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.41-46, 2017-12-02 (Released:2018-07-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

科学の内容的・手続き的な知識,メタ科学的な知識に着目して,アメリカの科学スダンダ ード・カリキュラム・教科書における問いの設定の学習内容の構成を調査した。科学スタンダードでは,第一に,小学校から高校段階にかけて,問いの設定に関する手続き的・メタ科学的な知識の習得が図られるように構成されていた。第二に,問いの設定に関する学習内容としての手続き的・メタ科学的な知識は,問いの種類,問いの条件,議論に係わる問いの3 つに分類しうるものとなっていた。 一方,教科書や補助教材では,第一に,科学的な問いの重要性や具体的な事例が中心的な内容であった。第二に,科学的な問いの定義が提示されている場合,観察や情報の収集で答えられるのが科学的な問いとされ,科学的には答えられない問いの性質や具体例も併せて提示されていた。第三に,特定の事物・事象に即して問いを立てるという学習場面の設定は,ほとんど見られず,実際の授業での指導に委ねられていると推察されるのであった。
著者
廣 直哉 内ノ倉 真吾
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.49-52, 2017-11-18 (Released:2018-07-01)
参考文献数
14

中学校と大学生への質問紙調査を基にして,与えられた事物・事象の探究可能性の判断と生成する問いの特性を探った。第一に、大学生は,一部の問題を除いて,適切に探究可能性を判断できていたのに対して,中学生は,倫理的な判断や個人的な好みに係わる問題が科学的に探究可能な問題ではないと判断できていたものの,それ以外の事物・事象について適切に判断できていなかった。第二に,中学生と大学生ともに,探究可能であると判断できた場合は,適切な問いの生成もできている傾向が見られた。しかしながら,大学生が生成する問いには,事物・事象の原因や理由を問う疑問や,対照実験を意図した疑問が見られるのに対して,中学生が生成する問いには,与えられた事物・現象をそのまま利用した疑問が多く,問いの生成に違いが見られた。
著者
内ノ倉 真吾 石崎 友規 齊藤 智樹 Rahma Suwarma Irma 今村 哲史 熊野 善介 長洲 南海男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.87-92, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
23

現在アメリカでは、科学、技術、工学、数学(Science, Technology, Engineering, Mathematics;STEM)の教育が推進されている。アメリカでの訪問調査と関連文献と Web 公開資料の分析に基づいて、STEM 教育の推進に関わる主体の具体的な活動事例と相互の関係を把握した。そこでは、州政府、教師教育団体、大学、K-12 教育段階の諸学校が、連邦政府の財政的な支援を基盤として、相互に協力・連携して、子どもの STEM 系教科の学力および興味・関心の向上と教師の職能開発の促進を目指した STEM 教育の推進活動が行われていた。
著者
長洲 南海男 伊佐 公男 今村 哲史 熊野 善介 山下 宏文 山崎 貞登 新田 義孝 杉山 憲一郎 畑中 敏伸 八田 章光 島崎 洋一 高木 浩一 藤本 登 滝山 桂子 安藤 雅之 出口 憲 大高 泉 内ノ倉 真吾 丹沢 哲郎 佐藤 修 尾崎 誠
出版者
常葉学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

英、仏、米国、オーストラリアでのエネルギー環境教育調査により独立教科はないが、ESDとして積極的に取り組んでいた。日本国内のエネルギー環境教育実践校のデータベース研究により意思決定の教育実践は少なかった。理工学系、教科教育等の多様な研究分担者等によりエネルギー環境リテラシー育成のカリキュラム構築の基本的枠組が、次の2点の合意形成を得た。エネルギー環境リテラシー育成のカリキュラムフレームワークの目標と内容の二次元マトリックスと重層構造図である。