著者
廣澤 一輝 長名 優子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-38, 2010-02-15

本論文では,ニューラルネットワークを用いた MaC モデルに基づく感情生成システムを提案する.提案システムは,感情を価値判断に用いる心のメカニズムと,選択的注意や反射・熟考のプロセスを処理する意識のメカニズムという2つのメカニズムを持つ心と意識の概念モデルであるMaC(Mind and Consiousness)モデルに基づいたモデルであり,MaC モデルの感情生成部分にカオスニューラルネットワークとボルツマンマシンを導入している.ボルツマンマシンは同じ入力に対して確率的に複数の出力を行うように学習させることができる.提案システムでは,この性質を利用することで,同じ外部入力に対しても時には違った感情が生成されるという人間らしさを実現する.一方,カオスニューラルネットワークは外部入力と履歴を考慮して学習したデータを動的に出力することができる.提案システムでは,この性質を利用して,過去の履歴を考慮した感情の生成を行い,人間らしさを実現する.計算機実験とロボットを用いた実験を行い,提案システムにおいて,外部入力のみに依存しない自然な感情生成が行えること,提案システムを実装したロボットにおいて手動で操作したロボットに近い自然な行動が実現できることを確認した.