著者
廣瀬 悠人 舟橋 弘晃
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第105回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.1140, 2012 (Released:2012-09-04)

【目的】本研究は,ブタ精液の凍結保存液への細胞膜非透過性トレハロース(T)の添加または凍結保護物質のグリセリン(G)との置換の可能性について検討した。【方法】15℃で一晩静置した大ヨークシャー種雄ブタ射出濃厚部精液を使用した。希釈液(20%(v/v)卵黄含有8.8%ラクトース液)中に精子を再浮遊(1×109 cells/ml)後,5℃まで2時間で冷却した。その後,OEP(1%(v/v)および異なる組み合わせの糖類含有希釈液を同量添加し(最終濃度2%(v/v) G,100 mM T,0.5%(v/v) G + 50 mM T), 0.5-mlストローに充填・封入した。そのストローを液体窒素の液面上方4.5 cmで15分間静置後,液体窒素中に投入した。その後,39℃温湯に30秒間浸漬したストローから精液を回収し,修正モデナ液中で遠心洗浄し,凍結前後の精子の運動精子率および生存精子率,融解後の先体反応精子率および活性酸素種量を調べた。【結果】すべての区で凍結の前後で運動精子率および生存率が有意に低下した。2% G添加区および0.5% G + 50 mM T添加区の融解後の運動精子率(それぞれ20.31±1.52%および16.12±2.35%)は,100 mM T添加区のそれ(5.56±0.62%)より高かった(P0.05)。 以上の結果から,GのTでの置換は精子の運動性を低下させるが,50 mM T + 0.5% G存在下では,2% G添加対照区と比較して,凍結融解後のブタ精子の運動性を低下させないことが示された。